東京国際映画祭のコンペティションで、「NO」を観ました。
ストーリーは、
チリに君臨するピノチェト独裁政権の信任を問う国民投票の実施が決まる。強者の「YES」陣営に対し、「NO」陣営は広告界の若きエグゼクティブを採用して果敢なキャンペーンを展開する。88年当時の模様を斬新なスタイルで再現した、勇気溢れる興奮の政治エンタテインメント。
というお話です。
この映画、面白かったです。チリと言われると、南米にあって、細長~い国って言うくらいしかパッと浮かばないんですよねぇ。サンティアゴって言うと有名だけど、何があるかわかんないし、あんまり身近ではなかったんですけど、なんか、この映画を観て、衝撃的で恐い国だけど、面白いんだなって思いました。
だって、CMのイメージで、YESだったものがNOになっていく。たとえば、CMの出来次第で、人々が、どんどん民主党から自民党に票を移しちゃうってことです。たかが宣伝なんだけど、その威力ってすごいよねぇ。普段、何気なく見ているCMなんだけど、不思議と誘導されてしまっているって、ありますもんね。
この映画のCMは、今の政権に対して、反旗を上げるためのものなので、良いCMを創って、人気になっていくと、どんどん現政権からの圧力弾圧がかかり、脅迫されたり、嫌がらせを受けたりして、大変な目に合います。でも、それにめげずに、反対派の人たちが頑張ってチャンスを生かしたお陰で、独裁政権を終わらせることが出来たんです。それまでは、政府の悪口をいうものは、直ぐに逮捕されたり、秘密警察のようなものに連れて行かれ、二度と戻ってこなかったり、たくさんあったようです。恐ろしいですね。
そんな恐ろしい時代を終わらせる為に、こんなに苦労をしたのだということが描かれていて、感動でした。社会派映画としても面白いし、広告デザイナーたちが、人を誘導する為に、たくさんの題材を集めて選定していくその姿は、宗教と似たものがあるなぁって思いました。
日本に居ると、南米の国のことって、ほとんど知らないし、勉強する機会も無いと思うんです。だから、こういう映画を取っ掛かりにして、少し、勉強してみると、本当に面白いと思いますよ。私も、独裁政権が最近まで続いていたなんて知らなかったもん。恥ずかしい。(笑)どんな国でも、色々な問題があって、それを一つづつ片付けていかないと国が壊れてしまいます。日本も、なんとかしていかないとね。
私、この映画、すごくお薦めしたいです。今回のコンペの中で、メイジーに並んで、お気に入りになりました。これだけしっかり作ってあって、社会的な作品なので、日本公開して欲しいなぁ。ハリウッドに負けないほど、しっかりした作品です。誰が観ても、面白いと思うと思います。ぜひ、公開されることを願って、もし、公開されたら、ぜひ観てくださいね。
http://2012.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=19