東京国際映画祭のコンペティションで、「ティモール島 アタンブア39℃」を観ました。
ストーリーは、
2002年に独立した東ティモールから多くの難民が流入した、国境近くの街アタンブア。離れた母を想う青年のリアルな日常と、淡い詩情の中で語られる引き裂かれた家族の物語。現在のインドネシアを代表する作家のひとり、リリ・リザ監督が新境地に挑んだ美しい最新作。
という内容です。
インドネシアから東ティモールが独立し、宗教などの違いもあり、難民がたくさん出たそうで、その時に、随分たくさんの家族が離れ離れになったり、内戦の被害者になったりして、悲劇がたくさん起きたそうです。今は、インドネシアと東ティモールも和解して、随分と平和になったようですが、その家族が別れ別れになってしまった話を、やっぱり伝えていった方が良いと思い、映画にしたそうです。
東ティモールと言われても、あまりピンと来なかったのですが、帰ってきて地図を見たら、ジャカルタから東へ、バリ島を越えて、たくさん行ったところにあるティモール島の端っこの方をちょっぴりだけ、東ティモールとして独立したんですね。こんなに小さな島を二つに分けなければならないような、何があったんでしょう。この映画では、独立の理由などはまったく触れていないので、解らないんですけどね。
父親と長男でアタンプアに住んでいて、東ティモールの方に母親と他の子供が住んでいるんです。長男のジョアオは、母親に会いたいと思っているのですが、信念を持って東ティモールの地を決して踏まないという誓いを立てた父親に遠慮をして、そのことを言い出せません。父親は、誓いを立てたのは良いけど、アタンプアで仕事が上手く行かず、何をやっても上手く行かないので、自縛放棄になっています。

ある日、ジョアオの前に、少女ニキーアが現れます。彼女は、お爺さんの住んでいた家にお爺さんが亡くなってしまったので戻ってきたんです。二人は、接近したり、しなかったり、でも、アタンプアでは、みんな貧しくて、誰もが極限状態になっています。
八方塞がりの彼らに、変化が訪れ、沈んでいた彼らにも、行動の時が。彼らが、どんな行動に出て、どうなっていくのか、それは、未来を見つめて、進んでいこうという気持ちが現れています。感動でした。色々な事があったけど、色々な事にこだわらず、しあわせになれる方法を模索しようという思いが表れていて、暗くて辛い道が、段々開けていくような、そんな感じが伝わってきました。
ただ、私、あまりインドネシアの歴史とか、政権がどう変わって、どんな紛争があったのかをほとんど知らなかったので、観ている時は、あまりのめり込んで観れませんでした。世界の出来事やニュースに詳しい人だと、この頃にこうだったとか、解ったんだろうけど、ちょっと残念でした。

内容も、派手な事は無く、未来を模索する姿を描いているので、すごく面白いとかいうことはありません。淡々とした内容で、世界情勢に興味がある方でしたら良いかも知れませんが、ちょっと普通の方にお薦めは難しいかも。日本公開は、難しいかも知れないけど、もし、目に触れることがあったら、インドネシアにはこんな歴史があるのだと知って欲しいな。

東京国際映画祭 コンペティション ティモール島 アタンブア39℃
http://2012.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=5