先日、「ボクの四谷怪談」を観てきました。
ストーリーは、
時代は「昭和五十一年にして文政八年、さらに元禄十四年であり、しかも南北朝時代」。 ところは東京都江戸市内。
長髪&Tシャツ&Gパン姿で職もない民谷伊右衛門(佐藤隆太)は、 当世人気の文化芸能人、伊藤喜兵衛(勝村政信)の早熟娘、お梅(谷村美月)に一目惚れされる。 伊右衛門にはお岩(尾上松也)という病身の妻がいるが、伊藤父娘はおかまいなしに伊右衛門を 口説きまくる。お岩の妹、お袖(栗山千明)には許嫁の佐藤与茂七(小出恵介)がいるが、主君の仇討 ちのため東奔西走する与茂七は滅多に顔を見せてくれない。そんなお袖に恋い焦がれるのは、伊右衛門の友人で、何をやってもうまくいかない直助(勝地涼)だ。元武士のプライドばかり高い義父の四谷左門(瑳川哲朗)、伊右衛門を妖しい眼差しで見つめる 腹違いの弟、次郎吉(三浦涼介)、口うるさい母親のお熊(麻実れい)など、伊右衛門の周囲は面倒 な身内ばかり。やがて、妻のお岩の身に異変が起き──。
というお話です。
舞台のあらすじだから、長くてスミマセン。
やっぱり、蜷川さんの舞台は面白い!!今回の、「ボクの四谷怪談」は、”ボクの”と言っているように、誰もが体験するかも知れないような出来事なんです。ただ、楽しいだけじゃないの。今、私たちが生活している中で色々なことが起こっているでしょ。それが、描かれているんです。
妻がいる人に横恋慕して盗ってしまうとか、主婦(許嫁だけど。)なのに売春しているとか、通り魔的に人を殺してしまうとか、仕事と言いながらも外で遊んでいる夫とか、工事現場の事故で一般人が死ぬとか、観ていて、とにかく、ニュースであるような事件がどんどん話に盛り込まれているんです。基本は、四谷怪談なんだけど、現代劇なの。
それも、ミュージカルなんで、歌いまくるんですよ、知っている歌を。懐かしい歌とか、カラオケでオッサンが歌うような歌とか、誰もが知っている歌とか、歌詞を変えて歌ってくれるので、とっても楽しいの。だから、物語は、結構シビアなことをやっていても、音楽で明るくしてくれるので、キツーっていうことが、キツく感じなくなるんですよ。救われるの。そして、社会の中に溶け込んでいく。そんな感じの舞台でした。
面白いのは、四谷怪談なのに、岩が途中まで出てこないんですよ。そして、岩は2種類居るんです。2種類っていうと、とっても変なんだけど、普通の岩と、本当の四谷怪談の岩なんですね。きっと、本当は普通の岩なんだろうけど、伊右衛門に見えているのは、四谷怪談の恐ろしい岩なんだと思うんです。そこのところが、とっても面白いんだよなぁ。その人の頭の中で想像が膨らんで、恐ろしい事になっちゃうんですよ。この四谷怪談の岩を、歌舞伎の尾上さんが演じていて、普通の演技の中に歌舞伎の動きが入ってきて、このコラボも素晴らしいと思いました。同じ舞台上なのに、空気が違うんです。歌舞伎の人ってすごいなって思いました。
主人公の伊右衛門は佐藤くんが演じていて、ダンスもして歌も歌い、長セリフもなんのそので、感動でした。いやぁ、あの長セリフ、すごいです。良く覚えてるよなぁ。伊右衛門が、岩に取り付かれて、自問自答する場面なんですけど、超長いんです。自問自答しながら、内に篭っていた自分を解放していくんですけど、そこがすごいんだよなぁ。見どころでした。
小出くん、勝地くん、栗山さん、三浦くん、谷村さんと、TVでもおなじみの若手に加え、勝村さんや瑳川さん、麻美さんなど、大御所もどっしり構えていて、安心して観ていられました。でも、とにかく、楽しいの。舞台って、こんなに楽しかったかしらって思えるような、そんな感じでした。
そうそう、舞台中に、色々な効果音が入ってきて、車の音や救急車の音など、普段私たちが生活している中に流れる音が入ってくるんです。その音、ラストのグランドフィナーレに繋がっていて、おおっ、ここに繋がってたのかって感動しました。最後のフィナーレで舞台が開くと、あっと思うと思います。本当に最初から最後まで、一つの物語であり、一つの世界であり、今、私たちの周りで起こっていることなのだと気づかされます。本当にすごいよなぁ。
あまりにおもしろくて、母も私も、この舞台なら、何度も観たいよねって話していたんです。スミマセン、感想が、すごいとか面白いとか、そんな言葉の応酬になってしまいました。でも、心底、楽しいって思えた舞台だったんです。母も私も大喜び。楽しかった・・・。とても満足でした。
もし、まだチケットが手に入るようなら、ぜひ、ご覧になってください。やっぱり、蜷川さんの舞台は、一味も二味も違います。色々な舞台、楽しいけど、やっぱり、体験するべき舞台だと思いますよ。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「ボクの四谷怪談」 シス・カンパニー http://www.siscompany.com/yotsuya/