「ヴァンパイア」 人間ながら血を飲むヴァンパイアになろうとした男。人間に戻った時、何を見たのか。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

先日、「ヴァンパイア」を観てきました。久々の岩井監督作品で、楽しみにしていました。


ストーリーは、

高校教師のサイモン(ケヴィン・ゼガーズ)は、アルツハイマーの母親(アマンダ・プラマー)の面倒をみながら、自分の欲望の為にウェブサイト上で自殺志願者を探していた。サイモンは、自殺志願者に血を貰い、その見返りに苦しまずに死ねる手助けをしていたのだ。そんな彼は、自殺を志願する人々から“ブラッドスティーラー”や“ヴァンパイア”と呼ばれていて……。
というお話です。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ヴァンパイア


心の動きを繊細に描いた作品で、ネタバレせずにどうやって感想を伝えたらよいのか悩みます。でも、書いちゃおう。(笑)


一見、アルツハイマーの母親の面倒を見る真面目な教師に見えるサイモンは、暗い部分を持っています。見た目がとても大人しくて、良い人そうに見える人間ほど、内に暗い部分を秘めていると思うんです。誰もが良い人って思うってことは、みんなに合わせて、自分の個を消しているということだろうから、一人になると、そのストレスが蓄積されているので、そうとう衝撃的な快楽を求めないとスッキリしないですよね。その典型のようなサイモンでした。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ヴァンパイア


きっとサイモンは、ヴァンパイアという種族を、命を操れる天使のような存在に見ていたのではないかと思います。血を集めることで(たまに飲んだりして。)、そのヴァンパイアに近づいて、平凡で面白みの無い日常とは違う自分を見つけたいと思ったのかも知れません。その2面を上手く使い分けて、静かに暮らしていたサイモン。でも、そんな事がいつまでも続く訳は無いですよね。


真面目そうに見えるサイモンを警察官が気に入り、自分の妹を紹介します。その妹が、超イヤな奴で、見ていてイライラしました。だって、大人しいサイモンを良い事に、どんどん家の中に入り込んできたり、人の生活を踏みにじるような事をするんです。こういう女、いるよなぁ。人のケータイ電話を見たり、部屋を覗いたり、机を引っ掻き回したり、プライドってモンが無いのかしら。酷い女でした。この女が、ネックになるんですけどね。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ヴァンパイア


教師サイモンの生徒で、日本からの留学生が居て、その彼女も自殺志望なんです。ネット上で、死というものを通して知り合った人間ではなく、本当に自分に関わりのある身近な人間が死を選ぼうとした時、彼は、死というものが、決して美しいものではなく、生命というものの美しさを感じたのだと思います。彼女との出会いが、彼に変化を与え、その変化によって、彼は人間に近づいて行ってしまう。ヴァンパイアのままなら、幸せだったのに・・・。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ヴァンパイア


とにかく、映像が美しいんです。安心して観ていられるの。岩井監督の作品は、本当に不快になる場面が無くて、最初から最後まで、同じレベルで安定して観て行けるんですよね。普通、どうしても、それまでの流れを壊してしまう場面が入り込んだりして、ちょっと不快になるんだけど、岩井監督の作品には、それが無いんですよね。ま、私の個人的感想なんだけど。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ヴァンパイア

この映画、私は、超お薦めしたいけど、岩井監督作品に慣れていて、細かい心理描写を深読みしないと、解り難いかと思います。元気な時に、集中して観てくださいね。こういう映画なので、家でゆっくりDVDで何度も観るのも良いと思いますよ。ぜひ、楽しんできて下さい。カメ



ヴァンパイア@ぴあ映画生活

ヴァンパイア - goo 映画
ヴァンパイア - goo 映画