湊かなえさんの「贖罪」という小説を読みました。この話は、WOWWOWでドラマ化されたようですね。DVDにもなっているようなので、借りてこようかな。でも、観る時間が無いよぉ・・・。最近は、映画館と試写に行き、仕事をし、演劇も観ると、既に、TVを観る時間がほとんど無く、移動時間に本を読むくらいしか出来なくて、主人にも、迷惑をかけっぱなしです。仕事を投げ出す訳にも行かないし、困るよねぇ。
ストーリーは、
とある田舎町にできた足立製作所の工場と、社員のために建てられた田舎には不似合いな瀟洒な社宅。そこに越してきた転校生エミリの環境に憧れや羨望の思いを抱きながら、4人の小学生はエミリと仲良くなる。夏休みのある日の「グリーンスリーブス」が鳴る午後6時、彼女達はエミリの死体を発見する。彼女達は犯人を見ていたが、その顔を思い出すことが出来なかった。15年後、彼女達が抱き続けてきた罪の意識と、エミリとエミリの母に対する償いが、さらなる悲劇を巻き起こす。
というお話です。
またも、湊さんの小説、後味悪いなぁ~。でも、面白いんだよね。起承転結がはっきりしていて、本当に読みやすいし、その展開も、予想が付かないんです。読んでいて、ワクワクして、どんどん先が読みたくなるの。でも、これ、映像になると、どうなのかな。あの黒沢清監督の作品とのことで、面白いんだろうなって思うのですが、なんとも観ていないので比べられませんが。
まず、エミリちゃんという少女が殺され、犯人を見ていたはずの友人4人に、母親がキツイ言葉を放つって事なんですけど、小学生相手に酷いって一瞬思うけど、殺された子供の母親なら、こんな風に言ってしまうだろうなって思いました。誰でも、自分の子供が一番かわいいし、5人の子供がいて、自分の子供だけ殺されてしまったら、どうして家の子なのって、誰かに当たらなければ耐えられないと思います。そういう場合、生き残った子供の親が自分の子供を守って、会わせない様にするか、会う時に一緒について行くかしないと、絶対にダメだと思う。
生き残った4人は、それぞれがトラウマに囚われ、道を踏み外してしまいますが、考えてい見ると、別に、友達が殺されたから道を誤ったんじゃなくて、この4人に起こる事は、ほんのちょっとの掛け違いで、誰にでも起こり得るような出来事なんです。別に、特別ではなく、誰にでも起こる事。ただ、昔にこんな事があったから、私はバチを受けているんだっていう気持ちになってしまうだけ。そんなトラウマを抱えて生きてきた子供たちは、本当にかわいそう。
エミリの母親の麻子は、俗に言うセレブと呼ばれる類に属して、自分はいつも中心にいるものだとして育ってきた人。その彼女にとって、挫折するというか負けることは、絶対に耐えられないことだったと思うんです。そんな彼女の性格が、全ての悲劇を生み出し、自分をも、潰していくことになったのではないかと思います。人間、子供の頃に、挫折したり負けたりしておかないと、それに対処する心を持てないので、社会に出てから、立ち直れなくなる。チヤホヤされて育った奴に限って、変態になったり、犯罪者になるんですよね。この麻子さんは違うけど、でも、子供の頃に挫折を知っていれば、人を思いやる気持ちも持っていたと思うんだけどな。
この小説、とにかく面白いです。一晩で読めますよ。小説では、映像と違い、あまり説明も無く、読者の想像にお任せするところもありますが、それが、超怖いんです。私なんて、超怖い考えに行きついてしまった。湊さん、読者の気持ち、良く分かっていますね。恐ろしいです。
やっぱり、DVDで黒沢監督のドラマを観てみたいと思います。あとがきを読んだら、映像はちょっと原作と変えてあるそうなので、どんな展開にしてあるのか、楽しみです。
この小説、ぜひ読んでみてください。読書の秋だし、眠かった目が、パッチリ開くと思いますよ。
- 贖罪 (双葉文庫)/湊 かなえ
- ¥650
- Amazon.co.jp
- 贖罪 DVDコレクターズBOX(初回生産限定)/小泉今日子,蒼井優,小池栄子
- ¥8,990
- Amazon.co.jp