「ぼくたちのムッシュ・ラザール」 悲しみは吐き出させないと、子供の心に深い傷を残すことになる。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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先日、「ぼくたちのムッシュ・ラザール」を観てきました。


ストーリーは、

モントリオールの小学校で、担任の女性教師が教室で亡くなり、生徒たちは動揺を隠せずにいた。そんな中、アルジェリア出身の中年男性バシール・ラザール(モハメッド・フェラッグ)が教員として採用される。ラザールの指導方法は風変わりであったが、常に真剣に向き合う彼に生徒たちは、少しずつ打ち解けていく。一方、ラザール自身も心に深い傷を抱えており……。
というお話です。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ラザール

小学校教師が、学校の教室で自殺をしているという衝撃的場面から始まります。まず、この教師は、教師として最低最悪だと言わざるを得ません。子供に勉強だけでなく、社会というものを教えるべき教師が、社会から逃避する姿を見せてどうするんですか。その個人も最悪ですが、そんな教師を雇っていた学校も避難されるべきですね。親は、とても心配になると思います。


自殺後、子供も、子供の両親も、学校側までも動揺を隠し切れず、暗い空気が流れているところに、新任のラザール先生が現れます。親も教師たちも、腫れ物を触るように子供に接し、担任の自殺の事はタブーのような状況が続き、カウンセラーが来ていても、ちゃんとしたカウンセリングと言える様な授業をしているように思えませんでした。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ラザール

そんな中で、ラザール先生は、子供の表情や行動を見ていて、自殺の事について、話を聞き始めます。他の教師や校長からは、子供に負担をかけるのは止めるように言われるのですが、ラザールは、子供の心の中に溜まってしまった不安や疑問、恐怖などを取り除く為に、たとえ話をすることにより、その心を解いていきます。


大人は、悪い事や辛い事など、子供から忘れさせようと思って、ついすべてを隠しがちになる事が多いですよね。でも、子供は、問題が解決しない限り、それを忘れることはありません。すべて、心の中にしこりとして残って、酷くなるとトラウマとして、いつまでも苦しむことになります。だから、子供がかわいいと思うなら、正面からその問題に取り組むのが、大人として必要なことだと思います。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ラザール

今、いじめ問題も大きくなっていますが、隠してばかりで、どんどん悪い方向に行ってしまった結果が、今のいじめ自殺に繋がってしまったのだと思います。最初から隠すことなく、正面から問題視していれば、自殺者も出なかったし、逮捕者が出ることも無かっただろうに。残念です。


とにかく、教育者のレベルが下がっていて、それを見せられてしまった親が、モンスターペアレンツになってしまったのではないかと思うんです。そりゃ、何事からも逃げて、自分さえ良ければ、生徒などどうでも良いと思っている教師が大半だと知ってしまったら、親も心配になりますよね。ひいきは当たり前で、常識も無いような先生ばかりでは、子供だって、尊敬などしなくなります。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ラザール

教師の方も、それなりに言い分はあるのかも知れませんが、近所に住んでいる教師の生活態度を見ていれば、常識が無いということが一目瞭然。常識が無いような教師では、何を言っても、社会では聞き入れて貰えませんよ。と言っている私も教員免許を持っているのですがね。(笑)

このラザール先生は、たくさんの辛い経験をし、悩みも抱えていて、教師としては素晴らしい人材だと思いました。苦しみを知っている人は、他人の苦しみも理解出来るんです。もっと時間があれば、子供達の親だって、この先生が子供に良い影響を与えるということが判っただろうに、残念です。

子供達は、ラザール先生のたとえ話を聞いて、そのショックから少しづつ立ち直り、顔に、ほほえみが浮かぶようになっていきます。癒されていく子供の姿が、ラザール先生を安心させ、先生も、その苦しみや悲しみから癒されていくようでした。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ラザール

とてもステキな映画でした。但し、淡々と、苦しみから立ち直っていく教師と生徒の姿を描いているので、単館系の映画に慣れている方でないと、あまり入れ込めないかも知れません。私は、お薦めしたい映画だと思いますが、決着が付くわけではないので、何となく良かったなぁって思えるような人のみ、観に行ってくださいね。もう公開が終わっているところが多いから、DVDを待って観てみてくださいね。楽しんでくださいね。カメ


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