今日は、「あなたへ」の試写会に行ってきました。高倉健さんが、スマステに生出演されていて、たまたま見たら、81歳なのに、とんでもなくお元気で、すごいオーラを放っていることを知り、この映画、楽しみにしていました。実は、高倉さんの映画は、近年の2作くらいしか、きちんと観た事が無くて、どうなのかなぁって思って・・・。
ストーリーは、
北陸の刑務所で指導技官として勤務する倉島英二(高倉健)のところに、亡くなった妻・洋子(田中裕子)が生前にしたためた1通の手紙が届く。そこには故郷の海に散骨してほしいと書かれており、英二は洋子が生前には語らなかった真意を知るため、車で彼女の故郷・九州へと向かう。その道中で出会ったさまざまな人々と交流するうちに、妻との思い出が頭をよぎり……。
というお話です。
話は、とても単純と言うか、あまり入り組んでないので、とても解りやすいと思います。妻が死んで、途方にくれる男性のお話なんです。妻が遺言を残していたのですが、その意味が汲み取れず、本当に妻は、自分を愛していてくれたのか、良く分からなくなって、その不安を抱えたまま、妻の故郷に向かう旅に出ます。
妻が遺言で、故郷の海に遺骨を散骨して欲しいと書いていたんです。何故、妻が墓に入らずに、海に撒いて欲しいと望んだのか。倉島(高倉さん)は、納得出来ません。散骨してしまったら、墓が無くて、妻に会いに行く場所が無くなってしまうと考えたからです。
そんなモヤモヤした気持ちで旅を始め、色々な人に出会います。まず、北野武さん演じるキャンピングカーのおじさん。国語の教師だった人で、妻に先立たれ旅をしているとのこと。彼との関わりで、旅と放浪の違いを教わり、帰る所があるのが旅だと聞いて、帰る所はあるのだろうか、妻はもう居ないのにという思いに駆られます。
その後、いかめしを全国回って展示販売している、田宮(草薙くん)と南原(佐藤さん)に出会います。彼らも、それぞれ、色々な悩みを抱えており、色々な夫婦の形を考えさせられます。そして、妻の故郷である長崎へ向かうと、そこで、若い結婚を控えたカップルと、その母親に世話になり、段々と、妻の最後の言葉の意味が判ってきます。
確かに、夫婦と言っても、同じ人間ではないので、相手の考えていることをすべて理解なんて出来ないですよね。お互いに思いあっていると思っていても、片方が欠けてみると、いったい夫婦って何だったんだろうってフッと思うときがあると思うんです。だって、居なくなってみると、一緒に暮らした時間が夢だったようで、確かに、そこで一緒に生活していたのか、自信が持てなくなるんじゃないかなぁ。すべてが嘘だったようで、まるで自分さえも、居なかったかのような、自分の半分が無くなると、バランスがおかしくなるのだと思います。
でも、やっぱり人間は、一人一人で生きていくものなんです。相手の人生を一緒に歩くのではなく、一人一人の人生を歩くんです。そして、夫婦は、それぞれの道を歩きながら、寄り添い助け合うんです。二人で一人じゃない。一人一人なんです。相手に頼るのでもなく、頼られるのでもなく、思い合うものなんです。そんな人間の人生を、色々考えさせられました。
とても単純な話なのに、結構、深くて、とても考えてしまいました。言葉で伝えなくても、ちゃんと心で伝えている。その表情、態度、目線、色々なもので、相手に対して、誠実に伝えていく。それが日本人なんだなぁって思いました。やっぱり、高倉健さんって、すごい人なんだなぁ。
ひとつだけ。妻が亡くなったのは53才ということだったのですが、じゃ、倉島は何歳なの?定年して、まだ働いている設定だけど、そうすると、妻とは結構、年齢差があったって事?妻と15年、一緒に居たとのことですが、そうすると、彼女が30代後半で高倉さんが40代後半だったのかな?ちょっと年齢の設定が、苦しいような気がしました。妻の死亡が63才と言うなら、見た目と合っていたと思うんだけど、ちょっと年齢が苦しかったなぁ。
私、この映画、お薦めしたいと思います。でも、若い人に、このテーマは解るかなぁ。まだ、身近に感じられない事だと思うので、あまり面白いと感じてもらえないかも知れません。とても静かなロードムービーなので、単館系の映画が大丈夫な方にお薦めしたいかな。あと、年配の方には、お薦め出来ます。きっと、彼らの思いが身近に感じられると思うので。ぜひ、楽しんできて下さい。
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