今日は、大人計画(劇団)の演劇「ふくすけ」を観てきました。
ストーリーは、
エスダヒデイチ(古田新太)と、精神のバランスを崩し告訴魔となってしまった妻マス(大竹しのぶ)。 ある日行方不明になったマスを、ヒデイチは14年も探し続けている。とある病院の怪しい警備員コオロギ(オクイシュージ)は盲目の妻サカエ(平岩紙)に歪んだ愛情を抱き、サカエはコオロギを献身的に愛していた。 そんなある日、コオロギの勤める病院に一人の奇形児が入院することになる。薬剤被害で奇形児として生まれ、長い間製薬会社によって監禁されていたフクスケ(阿部サダヲ)が発見・保護された。 彼を監禁していた製薬会社社長ミスミミツヒコ(松尾スズキ)は逃走している。保護されたフクスケはコオロギのいる病院に収容され、様々な思惑を持った人間たちが『フクスケ』を手に入れようと、悪意と愛情が交錯する―!エスダとフクスケ、コオロギ、サカエがある線で繋がっていることをまだ知らずに・・・。
というお話です。
とっても面白い舞台なんだけど、深く考えれば考えるほど、生きるという意味、人間の不平等さ、弱い人間を何処までも叩いてしまう今流行のいじめ、異質なものを疎外する気持ち、などなど、本当に、普段、表に出さない、心の中の汚い面を掘り出しているような、そんな内容でした。
身体的に障害を抱えている方に対して、表向きは親切にしていても、心の中では関わりたくないと思っていたり、親切にしている自分はとても良い人だと優越感に浸っていて、自分の為に親切にしていたり、確かに、心のどこかには、こういう考えがあるのだと思います。親切にしている美しい心を持った自分が”好き”みたいな・・・。それに気がつくと、自分がとても汚いもののように思えるけど、でも、それをしないではいられない自分も居て、どうしようもない穴に落ちたような、そんな気持ちになります。
そんな人間の気持ちを、とっても楽しく、だけど皮肉って、荒々しく描いています。大笑いしてしまうんだけど、でも、心にズシッと、後から来るんです。結構、考えれば考えるほど、”同情するなら金をくれ!”??あ、違った、”同情(優しさ)は、人の心を傷つける。”ということを言われて、攻められているような、そんな気持ちになり、辛くなりました。
このテーマ、映画「最強のふたり」でも描かれているのですが、同情や親切は何の助けにもならないんですよね。対等に、平等に、自分と同じ人間だと認識している人間のみ、人を助けることが出来るのだと思います。そうでないと、どんな親切も、すべて破滅へと繋がってしまうということだと感じました。
ま、難しい話はこの辺にして、今回の再演に対して、随分、現在、流行っている内容を盛り込んだのかなって思いました。だって、”ムカデ人間”が出てましたよ。このカルトムービー、観ている人しか、楽しさが解らなかっただろうなぁ。いやいや、大笑いしてしまいました。そうそう、松尾スズキさん、マニアックですねぇ。”ねじ式”って、それ、マニアックすぎ・・・!!友達と、大笑いしてしまいました。”ほら、ポッキン(本当はポキン)、金太郎。なるほど、ポッキン、金太郎。”って、友達と合言葉を交わしてしまいましたよ。(笑)
その他、ものまねとか、ツッコミどころ満載で、ふくすけ(阿部さん)が、突然ケリを入れたり、エスダマス(大竹さん)が放送禁止用語をバリバリ言ったり、大変でした。まして、舞台でトップレスになったり、局部のみタオルで隠したり、もう、やりたい放題?で、すごく楽しめますよ。面白いよなぁ。また観たいよなぁ。実は、今回、ぴあの先行でチケットを購入したのですが、何故か先行予約にも関わらず、2階席の後ろの方で、上から見下ろす状態だったんです、今度観るなら、1階で下から観たいなぁ。今度は、ぴあじゃなくて、他でチケットと取ろっと。
この作品、もうチケットが手に入らないかもしれないけど、すごく面白い舞台なので、もし、機会があったら、ぜひ、観てみてください。超お薦め出来ます。こういう面白い舞台は、ぜひ、DVDとかで観れるようにして欲しいなぁ。
ふくすけ 大人計画 http://otonakeikaku.jp/fukusuke/fukusuke.html
- ムカデ人間 [DVD]/ディーター・ラーザー,北村昭博,アシュリー・C・ウィリアムス
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- ねじ式 (小学館文庫)/つげ 義春
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- バスケットケース スペシャルコレクション [DVD]/ケヴィン・ヴァン・ヘンテリック,テリー・スーザン・スミス
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ちょっと、この「バスケットケース」の雰囲気が「ふくすけ」に似ているので、載せてみました。