先日、「汚れた心」を観てきました。
ストーリーは、
第2次世界大戦終決直後、写真館を営むタカハシ(伊原剛志)は妻ミユキ(常盤貴子)と共にブラジルサンパウロ州の町で暮らしていた。そこで暮らす多数の日系移民たちは情報を遮断されたままの状態で、大半は当然日本軍が勝利したと考えていた。そんな折り、元陸軍大佐ワタナベ(奥田瑛二)が行政により禁止されている集会を開き……。
というお話です。

戦前に、ブラジルに渡った日本人が戦後、こんな悲しい末路を辿っていたなんて、まったく知りませんでした。それは、先日観た「かぞくのくに」で描かれていた日本における在日の人と同じような立場ですよね。自分の国ではない場所に居て、自国の状態が、今、どんな状態なのか、良く解らず、自分達の思いだけで、納得出来るように考えをめぐらせていくというのは、不安でたまらなかったでしょう。
戦争が終わったことは納得出来ても、日本が負けたということを受け入れられない人が居たという事は、とても理解出来ます。日本でも、受け入れられずに自決した方が沢山居たのですから、異国の地で、ただ、人伝えに聞いたのでは、納得出来ないのは当たり前です。まして、軍人として生きていた人は、それまでの規律正しく、神としての天皇に仕えている日本人から変わる事は出来なかったのでしょう。
そんな軍人の気持ちを持つワタナベによって、日本移民は、二つに分かれていきます。世界の情勢を大きく見ようとする日本人と、日本人社会だけで見ている日本人と、まったく考え方が違ってしまうのです。人間って、変化を恐がりますよね。確かに新しいものを受け入れるのは恐いことです。でも、戦争という大きな嵐が去ったのに、まだ、自分達だけ嵐の中に残ろうとするなんて、間違っているでしょ。それが解らないのは、もう、少しおかしくなってしまっているとしか思えません。
そして、おかしくなってしまった人達の中で、衝撃的な事件が起こっていきます。それは、静かに、段々と大きく、暑いブラジルの太陽の下、人間が狂って行く様子が、まざまざと描かれて、ショックを受けました。こんなことが、本当に起こっていたのかと思うと、悲しくて、苦しいです。同じ日本人なのに、どうして仲間として、助け合えなかったのか。どうして命まで奪うような行動に動いていってしまったのか。考えても考えても、納得出来ません。
でも、戦争というものは、人間を、そんな風に狂わせてしまうのでしょうね。本当に、戦争はイヤです。ちょうど、観に行った日が終戦記念日だったので、たくさんの人がこの映画を観に来ていたのですが、みんな、思いは一緒だったと思います。戦争は、起こしてはいけない。戦争はダメって思ったと思います。
最近、日本政府が弱っているのを見透かされて、韓国、中国、ロシアに良いように言われて、竹島は勝手に実質的支配され、尖閣諸島には乗り込まれ、北方領土は返してもらえず、もう、直ぐにでも戦争をしようというような態度に出られていますよね。竹島も尖閣諸島も歴史的に検証しても日本の領土としての歴史があるし、北方領土は日本人が住んでいたのに・・・。日本が戦争なんてしたくなくても、相手が戦争を仕掛けてきたら、どうしたら良いのかしら。アメリカは守ってくれそうにないし、なんか、とても心配です。キチンと言う事は言って、早めに戦いにならないような対策を講じるのが賢い国と言えるんじゃないでしょうか。
この映画を観て、戦争が、どれだけ人間を狂わせてしまうのかということを見せられました。日本国内だけでなく、世界に散らばっている日本人すべてが、すごい傷を負うのです。そんな事は、二度と起こらないように、私たちが正しい考えを、キチンと持って行動していかなければダメなんだって、すごく思いました。
この映画、私はお薦めしたいけど、結構、衝撃的な内容なので、万人に観てとは言えませんが、少しでも考えてみようと思った方は、ぜひ、観てみてください。戦争というものの惨酷さを教えてくれると思います。ぜひ、考えてきてください。