先日、「きっとここが帰る場所」を観てきました。
ストーリーは、
元ロックスターのシャイアン(ショーン・ペン)は引きこもり生活を送っていたある日、故郷アメリカから30年も疎遠だった父親が危篤(きとく)だという知らせが届く。飛行機が苦手な彼は船でニューヨークへ向かうが、臨終には間に合わなかった。そして、かつて強制収容所にいた父が元ナチス親衛隊員の男を捜していたことを知ると、シャイアンは父の代わりに男を捜す旅に出る。というお話です。

フィーリング映画というのか、ストーリーを追うのではなく、感じる映画だと思いました。出てくる人物の誰もが変な感じがするんだけど、現実を見ると、もっと変な人が多いんですよ。この映画の中の人物は、現実よりも、よっぽどマトモ。そして、ショーン・ペン演じるシャイアンは、まるで地に下りてきたばかりの天使のようで、解ってるんだか解ってないんだか、感覚だけで生きているような人なんです。
彼は、昔、人気ロックスターだったんですけど、ある理由で、もう、歌を歌うことを辞めてしまいました。心に傷を負って、引きこもってしまったシャイアンの所に、父親危篤の連絡が入り、疎遠だった父親に会いにニューヨークへ行くと、既に亡くなっていた。父親の遺志をついで、ナチSS隊員ランゲを探す旅に出たシャイアンは、色々な人に会い、ずーっと感じていた”何かが変だ・・・”という気持ちを埋められるという事に気がつくんです。
別に、何がどうなったり、すべてが解決したり、彼が変わったりするわけではなく、彼は、彼のまま、何かちょっと行動することで、自分の内側の違和感がスッキリすることに気がつくだけで、本当に、フィーリングなんです。だから、この映画、賛否両論別れると思います。現に、カンヌ映画祭でも、審査員の賛否両論で揉めたとのことですから。
この映画のステキな雰囲気をどう伝えてよいのか、とても難しいのですが、子供のようなシャイアンが、淡々と旅をして、少しづつ人間に近づいていくような、地に足が付いていくような、やっぱり、最初に書いたように、天使が人間に同化し始める過程を見せられているような雰囲気なんですよ。今まで、別の世界に居た人間を、あまり良い印象で見ていなかった天使が、色々関わる事によって、人間を愛おしいと思うようになっていく、そんな風に観えたんです。
映像もとても美しく、人々の心も美しくて、気持ちが良くなる映画だと思います。音楽もとっても良いんですよ。映画館でなくて、ソファで横になりながら、ゆっくり観たい映画だなって思いました。大画面で観るのも、とってもステキなんだけど、もう一度、ソファで横になりながら観たいな。途中でウトウトしても、別に、また観ればいいって感じで。絵画で言うと、モネとかマネの絵のような、明るい光を受けた印象派の絵のような雰囲気です。ゆったりソファで観たくなるという意味が解っていただけるかな。
私は、好きな映画です。お薦めしたいけど、波が無くて、感じる映画なので、そういう映画に慣れている方でないと、難しいかなって思います。誰もが、すごく面白くて、美しい映画とは思わないと思います。だから、興味を持った方のみ、観に行ってくださいね。ぜひ、楽しんできてください。
・きっと ここが帰る場所@ぴあ映画生活
きっと ここが帰る場所 - goo 映画