今日は、「桐島、部活やめるってよ」の試写会に行ってきました。
ストーリーは、
とある田舎町の県立高校映画部に所属する前田涼也（神木隆之介）は、クラスの中では地味で目立たないものの、映画に対する情熱が人一倍強い人物だった。そんな彼の学校の生徒たちは、金曜日の放課後、いつもと変わらず部活に励み、一方暇を持て余す帰宅部がバスケに興じるなど、それぞれの日常を過ごしていた。ある日、学校で一番人気があるバレー部のキャプテン桐島が退部。それをきっかけに、各部やクラスの人間関係に動揺が広がり始めていく。
というお話です。
私は、原作を読んでから、この試写会に行きました。だから、ある程度は、内容が判りましたが、これ、映画だけ観ると、あまり訳が解らないのではないかと思いました。原作と同じように、誰が主役と言う訳ではなく、ある高校の２年生の１週間くらいの時間を、色々な生徒の目から観て、描いていくというものです。
生徒は、それぞれ、自分の立場、自分の性格があり、同じ事を観ていても、まったく違うものに見えていたりするので、それを、順番に、描いていくので、まぁ、面白いといえば面白いのですが、”さっき見たよ”って、イライラすることもあります。
これ、原作だと、６～８人くらいの生徒の性格や、生活でどんな問題を抱えているかとか、部活はどうかとか、その生徒が置かれている状況を細かく説明してあるので、どうして、その生徒が、そういう行動を取るのかとか、きっと今後は変わっていくんだろうなとか、そういう事が、後姿だけで解るような感じになっているのですが、映画では、一人ひとりの生活状況などがまったく描かれていないので、この小説が、どうしてそんなに良いのかということが、伝わらないような気がしました。
特に、宮部実果は、まったく表面的にしか描かれていなくて、彼女の”頑張ってもムダじゃん。”っていう言葉がどうして出てくるのか、伝わっていないんです。彼女が一番過酷な運命を背負っているのに、悲しかったな。あと、亜矢ちゃんの好きな人も、原作と違っていたような・・。
随分と、原作の良いところを削ってしまった感があり、ちょっと残念な感じに仕上がっていました。だから、この映画だけ観る人が多いと、あまり良い評価は出ないんじゃないかなぁ。原作は面白いのにねぇ。あの原作の良さが、映画に反映されていないのは、本当に残念。キャストなども、結構、合っている子を探していると思うんだけど、どーも、描き方がねぇ・・・。
キャストは合っているんですよ。風助も、いきなり桐島の後を任される、ちょっと小さいバレー部のリベロ。すごく頑張りやさんなのに、どうしても桐島に追いつけないというジレンマを抱えている男の子。前田涼也は、映画オタクで気が小さい男の子。映画への情熱を内に秘めているけど、自信が持てない。菊池宏樹は野球部に行きたいけど足が向かない男の子。本当は真面目な好青年。梨紗（桐島の彼女）と佐奈（菊池の彼女）は、大して重要な役ではないので、イヤな女子という雰囲気のこの二人で良かったと思うし、どの子も、キャラクターにピッタリで、もっと細かく描けば、それぞれのキャラクターでドラマが一つ作れるくらいなんですけど、映画にしちゃったから、残念だったよねぇ。
これ、連ドラにして、毎週、同じ時間の違う子の話をやって、最後にまとめたら、本当に面白いものが出来ただろうに、どうして１本にまとめてしまったんでしょう。それぞれの子に、すごく深いトラウマや悲しみ、こだわり、思いが詰まっているから、毎週観たくなっただろうになぁ。
私は、原作を読んだ方には、お薦めしたいと思います。でも、原作を読まずに、作品のみ観ると、ちょっと、解り難いというか、あれ？何を描いていたの？って思いが出てくると思うので、なんとも・・・。
私は、原作が好きなので、ちょっと残念に思っています。もし、出来るなら、ＴＶ連続ドラマでやって欲しい作品です。
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