「ヘルタースケルター」 原作をまったく壊さず、生々しいリリコが存在する世界は美しい。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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今日は、「ヘルタースケルター」を観てきました。


ストーリーは、

トップモデルとして芸能界の頂点に君臨し、人々の羨望(せんぼう)と嫉妬(しっと)を一身に集めるりりこ(沢尻エリカ)。だが、その人並み外れた美ぼうとスタイルは全身整形によってもたらされたものだった。そんな秘密を抱えながら弱肉強食を地でいくショウビズの世界をパワフルに渡り歩く彼女だったが、芸能界だけでなく、世間をひっくり返すような事件を引き起こし……。
というお話です。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-リリコ2

いやぁ、すごかった。原作がどう描かれているか、ちょっと心配していたのですが、あのモノクロのマンガに、華やかな色が加わり、2次元だったリリコが、3次元になって、生々しく、スクリーンで動いていました。やりましたね、沢尻さん。ここまでやってくれて、本当にありがとう。原作を壊さず、これほど美しく描いてくれるとは、驚きました。


芸能界の裏を生々しく描いている作品だけに、俳優の方には、結構、辛い作品だったと思うんですよね。特に、沢尻さんは、”パッチギ”から、一気にトップクラスに上がってしまった女優さんだったので、スキャンダルで一気に仕事が無くなった時に、このリリコと同じような苦しみを味わったと思うんです。だからこそ、演じるのは辛かっただろうな。それを跳ね除けて、これだけのハードな演技をこなし、まして、ヌードなどなど、すべてをさらけ出すような役だったので、よくやり切ったって思います。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-リリコ4

この映画の後、ちょっと休んでいた理由、すごく解りますよ。だって、カメラの前に立つの、怖くなると思う。それくらい、この映画の中のリリコは、芸能界とそれを覗くことが大好きなギャルや視聴者達にメチャクチャに傷つけられ、羽根をもがれて、地に落ちてしまい、その倒れた姿まで覗かれるような役なんです。だから、いきなり普通にカメラの前で笑ってと言われても、リリコの姿がダブってしまって、出来なかったと思うんですよ。初日に、よく戻ってきてくれました。早く、リリコから抜けてくださいね。


でも、芸能界を観ている視聴者って何なのかしら。みんなニワトリレベルの知能で、3歩歩いたら、それまでの事を忘れてしまう。常に、新しいことのみを取り入れ、何も残さない。確かに、私もそうかも知れない。毎日のように、意味の無い芸能ニュースが流れ、相手が倒れるまで追っていく。それを興味本位で見て、誰がどうしたと騒いで、みんな同じ顔になっていく。個性も何も無く、ただ、ブロイラーとして餌を与えられ、生きていく。とても恐ろしくなってしまいました。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-リリコ5

美しいって何?っていう話なんですけど、美しいの認識が違うんですよ。若い子は、経験も浅いし、知識も無いから、こういうのが美しいと言われれば、それが美しいんだって思ってしまうんでしょうね。1年前の美しいは、今はブサイクと言われてしまう時代でしょ。すべてが流行りなんです。その時代の好みだけで、本当に美しいと言うのとは違います。その内、すごく太っていて、ドアに挟まるくらいの女性が美しいと言われる時代も来るかも知れませんよ。でもね、それって、本当の美しさじゃない。


美しいって、眺めるだけで感動出来てしまうものではないかと思うんです。小さな蟻でも大きな象でも、それが野菜であっても、生命が溢れているものって美しいでしょ。このリリコは、確かに表面は美しく作ってあったけど、それだけで人気が出たんじゃないと思うんですよね。リリコの貪欲な生命力、トップでありたいという気持ちや注目されたいという気持ちが、その全身整形のアンバランスな姿の内から溢れて、そのヘルタースケルター(シッチャカメッチャカ)である姿を美しいものに変えていたのではないかと思います。ただ一人、検事の男はそれを見透かしていた。そういうことです。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-リリコ3

今、芸能界にも全身整形とおぼしき人、たくさん居ますよね。AK○のと○ちんとか、名前判らないけど、他の子も、パッと見はキレイかなって思うんだけど、表情が無いことに気が付き、そのアンバランスさを怖いと思うんです。あんなに若いのに、骨と皮と肉の動きが違うなんて、年を取ったらどうなっちゃうんだろう。それも恐ろしいです。


原作を読んでいない方は、ちょっと内容に驚くのではないかと思います。すごい衝撃作なので、エロいのがダメな方は、辞めたほうが良いかも知れません。でも、原作その通りなので、もし、心配な方は、原作を読んでから行かれると、納得出来ると思います。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-リリコ1

私、この映画、すごくお薦めしたいと思います。ここまで原作に忠実に作ってくれれば、原作者の岡崎先生も喜ぶでしょう。ファンも文句を言わないはずです。一つだけ違ったのは、マネージャーの年齢が10歳くらい高くなったことくらいかな。でも、この微妙な役は寺島さんだから出来たんだと思う。彼女以外だと、もっと陳腐になっただろうと思います。蜷川監督、ありがとう。沢尻さん、ありがとう。私は、この作品、とても好きです。一つだけ、子供には、絶対に見せないで下さい。エロいですから。ヘアは出ないけど、ギリギリまで沢尻さんが見せてくれているので、感動するけど、子供には・・・。それにしても、沢尻さん、キレイ・・・。カメ



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