フランス映画祭11作目は、「ミステリー・オブ・リスボン」でした。
ストーリーは、
19世紀ポルトガル。少年ジョアンは、両親が無く、苗字も無いということで孤児院で虐められていた。ディニス神父は少年ジョアンに彼の両親について尋ねられ、裕福な侯爵婦人である彼の本当の母親アンジェラと引き合わせる。アンジェラは結婚前にある男性と恋に落ち、その子供を身ごもった。彼女の父親は、それを許さず、相手の男と生まれてくる子供を殺すよう、「もの食いナイフ」と呼ばれるアウトローを雇う。子供を出産後、直ぐに父親に無理やり結婚させられたアンジェラは、嫉妬深く短気な夫モンテゼロス侯爵に別の男の子供を結婚前に産んでいた事を知られ、城に監禁状態にされていた。彼が出かけている隙に、ジョアンに会いにきたアンジェラだったが、二人が会ったことから、二人の周りの人間の運命も周りだす。
というお話です。

4時間半の大作です。ジョアンという少年を中心に、周りに居る人間の関わりを一つづつ描いていき、すべての人の繋がりが見えてきます。とにかく、細かく人物を掘り下げていくので、時間がかかるし、まったく展開の違う話が繋がってくるし、とてもバラエティに飛んでいて、誰の話も、楽しんでみることが出来ます。まぁ、長いので、途中でちょっとウトウトということもあるでしょうが、まぁ、それでも話は解ると思いますよ。
これ、どこまで書いても大丈夫なのかなぁ。ネタバレにならない程度に書きたいんだけど、なんたって、長すぎて、最初の部分のみ解説して、想像してくださいって言っても、遠すぎて、全然解らないよねぇ。(笑)どうしようかしら。とりあえず、ほんわり書いてみますね。
ジョアンは、本当のお母さんを知っても、直ぐに一緒に暮らせる訳ではなく、色々な問題があり、その後も苦しむんです。神父さんの下で成長していくのですが、この神父さんも曲者。神父さんの過去も出てきて、こちらもすごい過去でした。幾つかの名前を持ち、不思議な運命でジョアンと出会った事が解ります。
話としては、ジョアンの話、母親のアンジェラの話、神父の話、ジョアンを殺すのに雇われた殺し屋の話、ジョアンの父親の話、が描かれています。この話の中に、また、その家族の話が入ってくるので、自分の頭の中で、系図を作っていかないと、段々と、誰が誰だったのか解らなくなってしまいます。
この話の時代は、フランス革命があったり、ナポレオンの遠征があったり、その時代の歴史を知っていると、色々な出来事の理由がわかりやすいかも知れません。戦争に振り回された彼らの人生も、ある程度解ってきます。
たくさんの人間が、色々な関わり方をしていて、最後にほとんどの人物の関係が判ります。その関係がわかった上で、最後に最初の場面に戻ってきます。これはネタバレにならないと思う、というか、知っておいた方が面白いのではないかと思うんですが、最後に最初の場面、ジョアンが意識を亡くした場面に戻るんです。ということは、もしかしたら、今までの話は、すべて孤児で身寄りの無いジョアンの頭の中だけの空想の世界だったのかもしれないという考え方も出来るし、未来を見ていたのかもしれないという考え方も出来るし、ただ映画的な構成だったのかもしれないという考え方も出来るんです。でもね、もしかしたら、そのままジョアンの意識は戻らないかも知れないような状態なんです。それを考えると、もしかして寂しい孤児の空想だったのかもって思えるし、色々な考え方が出来て面白いんです。
様々な想像を掻き立てる内容で、とても面白いと思いました。ステキな歴史絵巻を、楽しんでみてください。私は、お薦め出来る内容だと思います。ただし、4時間半の大作なので、万人にどうぞって言えないところが難しいよね。映画館のエグゼクティブシートとかなら良いかも知れないけど、小さなイスだと、ぶっ続けは辛いと思うのよね。最近のシネコンは、イスが良いから大丈夫だろうけど、古い映画館だと、もたないと思います。映画館を選んで行ってみて下さいね。ぜひ、楽しんでください。
フランス映画祭 2012 http://unifrance.jp/festival/2012/