【フランス映画祭】「美が私たちの決断をいっそう強めたのだろう/足立正生」 報道が描けない美を描く | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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フランス映画祭10作目は、「美が私たちの決断をいっそう強めたのだろう/足立正生」でした。

足立監督を追った、ドキュメンタリー映画です。


内容は、

政治的な前衛映画監督たちを被写体にしたドキュメンタリー・シリーズの第一弾となる本作は、1960年代に鮮烈な映画を次々と世に生み出し、若手芸術家の筆頭として注目されるも、やがて革命に身を投じた足立正生のポートレートである。フィリップ・グランドリュー監督が2008年に初来日した際に足立正生と対面し、意気投合したことが本作製作のきっかけになった。タイトルの「Il se peut que la beauté ait renforcé notre résolution」は、2006年に足立正生が35年ぶりに監督した『幽閉者 テロリスト』の中で、テロリストである主人公Mが軍事訓練で見た美しい高原について「その美しさのせいで俺たちの決断も一段と強まったのかもしれない。なにもかもが、戦いに向かうには、静かで美しすぎる風景だった」と語るセリフから取られている。

というお話です。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-足立1

足立監督とは、

福岡県出身。1959年、日本大学芸術学部映画学科在学中に「非公開を目的とした映画」として35mmフィルムで自主制作された『鎖陰』によって一躍学生映画界の寵児となる。
監督としては『堕胎』1966年でデビュー、永山則夫を題材にした『略称・連続射殺魔』を佐々木守、松田政男らと共同制作し風景論を展開。1971年にはカンヌ映画祭の帰路、若松孝二とパレスチナへ渡り、日本赤軍、並びにPFLPのゲリラ隊に加わり共闘しつつ、パレスチナゲリラの日常を描いた『赤軍-PFLP・世界戦争宣言』を撮影・製作。1974年以降、映画活動を一時捨て、一兵卒として重信房子率いる日本赤軍に合流、国際指名手配される。
1997年には岡本公三や和光晴生ら四人と共にレバノン・ルミエ刑務所にて逮捕抑留。2000年3月刑期満了、身柄を日本へ強制送還。日本の警視庁は足立正生ら3人を逮捕。旅券法違反で起訴され、懲役2年執行猶予4年の判決が下る。日本で創作活動を再開。国内において35年ぶりに岡本公三をモデルに描いた『幽閉者 テロリスト』でメガホンを取った。

という方なんです。


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映画の後のサイン会で、足立監督にサインを頂いて、握手をして頂いたのですが、その手が、ベテランの大工さんと同じような手をしてらっしゃいました。苦労して、頑固に自分の意思を曲げずに、完璧なものを目指して作ろうとする、今は無き本当の大工さんと同じ手でした。映画監督も職人ですもんね。その歴史を手に刻んできた力強い手だったので、感動しちゃいました。


私、恥ずかしながら、足立正生監督と言う方を知りませんでした。若松監督と一緒に映画を製作していて、独立したそうです。パレスチナに渡って、日本赤軍の映画を撮ったりしたそうなのですが、赤軍なんて、私が産まれる前の話だし、パレスチナゲリラとかは、今も話を聞きますが、とにかく、報道されていない事ばかりですよね。


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日本は、民主主義で自由と言いながら、ニュースは記者クラブなどで談合して、本当のことは報道されないということが多いんでしょ。報道規制なんて無いといいながら、すごい情報操作されていると思います。だから、赤軍のこともパレスチナのことも、今の若い日本人は全然解らない。だって、誰も教えてくれないし、情報も無いし、ただ、悪い人という情報しか教えてもらっていないんですもん。最近は、随分、ネットで情報が拾えますが、TVも新聞も、情報操作されているので、真実は判らないんですよね。


そんな私たちが知らない真実を、この足立監督は知っているのだと思います。だからこそ、彼の作品は、ほとんどマスコミで取り上げられないし、私たち一般市民への情報伝達が無いんでしょうね。もっと早くに足立監督の作品、知りたかったな。せっかくお会い出来たのに、彼の作品を観ていなかったので、なにもお話が出来ませんでした。悲しいよぉ。


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日本赤軍も、パレスチナゲリラも、知らないから恐ろしい。知ろうとしないから不気味なんです。どうして日本人なのに、パレスチナに言って戦ってたのか。飛行機をハイジャックして北朝鮮に行ったのか。なーんにも知らないから、いつまでも彼らは私の中では悪者なんです。でも、こういうきっかけがあったので、一度、色々な映画や文章を読んでみて、本当に彼らが悪者なのか、足立監督が間違っていたのか正しいのか、そういうことを考えて見たいと思いました。


映画の内容に関してですが、”美”というものを追求しています。ですから、映像が美しいです。それは観念で撮っているのではなく、感性のみで撮っているので、不思議な美しさがあります。今回のフランス映画祭の短編作品「ビン底ぞこメガネ」で描かれているように、すべてがキッチリ見えてしまうより、ぼやけていて、想像を誘発する方が美しいんです。そんな映画でした。


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”美”って、人それぞれ違うので、これは美しいのだと押し付けるのは間違っていると思うんです。だからこそ、こういう映画で、美しいというものは、感じるものなのだということを、気がついて欲しい。いや、別に、美しいと感じなくても、それは人それぞれなんだから、良いんです。こういうのは美しいと思わなくても、その人は、その人で、美しいと感じるものが他にあるんでしょうから、それは間違いではありません。


なーんにも、難しい事考えなくても、ただ、これ好きとか嫌いとか、それで良いんです。感じる映画なので、もし、合わなかったら、寝ちゃってもかまわないと思いますよ。でも、もし、少しでも感じるところがあったら、ぜひ、楽しんでみてください。感動すると思います。カメ


フランス映画祭2012    http://unifrance.jp/festival/2012/


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