フランス映画祭9作目は、「そして友よ、静かに死ね」でした。
ストーリーは、
1970年代初頭"リオンの奴ら"として恐れられた実在のギャング、エドモン・ヴィダルの激動の半生を、当時の事件とフィクションを巧妙に織り交ぜて描く、重厚なクライム・サスペンス。
自身のルーツに連帯感、忠義そして誇りを持っているエドモンは、共に臭い飯を食った親友セルジュと派手な強盗事件を繰り返し、伝説のギャングとして一時代を築いた。現在、還暦を迎える彼は、かつての自分を忘れようとしていたが、13年ぶりに現れたセルジュとの再会で、彼の人生は再び危険な時へ動き始める・・・。
というお話です。

ギャングと言えば、有名なジャック・メスリーヌを思い出すと思うのですが、この映画に描かれるヴィダル=モモン(呼び名です。)は、同じようにギャングをしていた一人なのですが、あまりメスリーヌのようにマスコミなどに顔を出すのを好まず、その半生は、あまり表に出ていませんでした。
このモモンという人物は、家族を大切にして、まるでフランス版ゴッドファーザーのように、どっしりとして、そこに座しているという感じの人物でした。年をとって、静かに暮らしているヴィダルの元に、古い親友セルジュが警察に捕まったという情報が入ってきます。彼は、スペインで何か事件を起こし、フランスへ逃げてきていて、もし収監されてしまえば、刑務所の中でスペインのギャングに殺されるだろうとのこと。収監される前に、逃がす必要があるのですが、ギャングから足を洗ったヴィダルは、法律に反しないやり方しか出来ないと突っぱねます。
懐かしいセルジュの名前を聞き、ヴィダルは、昔のことを思い出します。若い頃のモモンがどうしてギャングになることになったのか。どうやって、ギャングの頭になっていったのかが解ってきます。若い頃のヴィダルは、まるで仲間を照らす、輝く太陽のような青年で、とってもかわいいの。友達を大切にして、好きな女性には積極的で、まるで、彼中心に地球が回っているような、そんな感じに見えました。
そんな輝けるギャング時代を過ごしていたヴィダルにも、年貢の納め時と言いますか、輝ける時代の終焉を迎えます。ギャング時代を終える原因が、実は、後々にも響いてくるのですが、この時は、そんな事も解らずに、あっという間に終ってしまいます。仲間や家族を守っていくはずが、結局、仲間も家族も傷つけてしまったヴィダルは、二度とギャングの世界に戻ることは無く、静かに暮らすことを選びます。
とても男っぽい映画で、こういうのをハードボイルドっていうのかしら。何をやっていても、カッコイイんです。主役のジェラール・ランヴァンさんが、超カッコイイオジ様で、その年齢で、その身体は罪でしょ~っていうくらい、ステキな身体をしてらっしゃいます。うふっ。(笑)オジ様ラブの私には、大好物でしたね。
若い頃のヴィダルを演じたディミトリ・ストロージュさんは、とってもかわいくて、愛らしい人でした。彼がゲストで来て下さって、質問などに答えてくださったんですよ。ステキな方でした。若い頃のヴィダルを先に撮影して、その若い頃のヴィダルにあわせて、年を取ったヴィダルをジェラールさんが演じてくださったようです。だから、付けほくろをして演じたのは、ジェラールさんだったそうですよ。
ギャング映画系が好きな方には、とってもお薦めしたい映画です。男による男の映画なんで、そういう映画が好きな人にもピッタリ。そして、ステキなオジ様が好きな方にも、超お薦めです。でも、ハリウッドの王道映画が好きな方には、ちょっと暗めに感じるかも知れません。それほど派手なアクションも無いので、やっぱり、単館系の映画が好きな方に良いと思いますよ。ぜひ、楽しんでください。
今年の9月に公開予定です。
フランス映画祭2012 http://unifrance.jp/festival/2012/