フランス映画祭、4本目は、「アーネストとセレスティーヌ」というアニメーション作品でした。
ストーリーは、
アーネストおじさんは、大きくて無愛想なクマ。腹ぺこでゴミ箱をあさり、最初に見つけたものを口に詰めこもうとしたそのとき、金切り声があがった。「わたしを食べないで!」。飲み込まれようとしていたのは、小さなネズミのセレスティーヌ。「わたしを食べなければ、かわりにあなたがこの世で一番欲しいものをあげるわ」。こうしてセレスティーヌは一命をとりとめた。この奇妙な出会いから、クマの世界とネズミ世界のどちらにもない、ふしぎであたたかい友情が花開く。
というお話です。
絵本が原作だそうですが、原作の絵本とは、ちょっと内容が違っているようなんです。でも、ちゃんと同じところに落ち着くらしくて、原作ファンの方も、満足されているようでした。原作絵本の絵のイメージを壊さないように、とても気を使っていて、その温かさ、柔らかさ、かわいらしさは、原本そのままで、絵本作家の方は、亡くなってしまったそうなのですが、きっと満足してくださるのではないかとのことです。
私は、原作絵本を知らないので、比べられませんが、とにかく、水彩画のような温かさがすごくステキなんです。映画上映の前に、監督がマックPCで、舞台上でサラサラッと、アーネストとセレスティーヌのイラストを描いてくださって、それにバイオリンと朗読をつけて、ちょっとしたイベントを催してくださったのですが、感動してしまいました。本当に、サラサラッとですよ。それも、4枚くらいだったかな。アニメと言えば日本でしょって思っていたけど、フランスもすごいですね。負けないように頑張らないと。
監督もおっしゃっていたのですが、熊のアーネストに関しては、ジブリのトトロのイメージを重ねたそうです。確かに、お腹のプヨプヨって感じとか、のっしのっしっていう感じは、トトロっぽかったです。そして、セレスティーヌは、魔女の宅急便のキキとイメージしたそうです。ネズミだけど、キキのように、活発で、一生懸命な女の子。セレスティーヌに、そのイメージが重なっていました。
内容なんですが、熊の世界(地上)と、ネズミの世界(地下)は、世界を二分していて、お互いに、相手は恐い、恐ろしいと言って、警戒しているんです。でも、アーネストとセレスティーヌは、その掟のような交流しないというのを破って、仲良くしてしまいます。観ていて、白人社会と黒人社会、キリスト教とイスラム教、の諍いを感じました。話し合ってみれば、本当は恐れなど感じなくても良いのに、根本から否定して、まったく交わろうとしないんです。一度でも、相手と交流してみれば恐れも消えるのに、それをやる勇気がない。そして、それをやってしまったら利益を失う者もいる。色々な物が絡んで、交流が出来なかかったんです。その扉を、アーネストとセレスティーヌが開くんです。簡単ではありませんが、沢山の苦労をして、二人はしあわせになります。ああー、本当に良い内容でした。
こういうアニメーション、子供に観せたいなぁ。もちろん、日本のジブリの作品も良いけど、フランスのこういうアニメも、ぜひぜひ、子供に観せたい作品です。去年のフランス映画祭で上映されたアニメーション「パリ猫の生き方」も良かったけど、今年の作品は、本当に子供にぜひ観せたいと思った作品です。
成長する度に子供と一緒に観て、最初は、クマとネズミの話として、段々と社会の話として、話し合っていくのも、ステキだと思いますよ。私は、とてもお薦めしたい映画です。心が癒されます。最後、涙ぐんじゃいました。好きな作品です。
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