フランス映画祭、3本目は、「愛について、ある土曜日の面会室」を観ました。
ストーリーは、
ステファンは病院へ血液を運ぶ仕事をしているが、仕事も、恋人エルサや母親との関係も上手くいっていない。そんなある日、トラブルに遭ったエルサを助けてくれたピエールと知り合いになる。彼はステファンの顔を見るなり驚いた反応を見せ、ある奇妙な依頼を持ちかけるのだった。
ゾラは息子が殺されたという知らせを受ける。突然の訃報に打ちひしがれる彼女は、息子が殺された理由を知るため、アルジェリアからフランスへと渡る。そして、加害者の姉セリーヌと知り合いになり交流を深めていく。ある日、親類が誰も面会に訪れないと嘆く彼女に、ゾラは自分が会いに行くことを提案する。
ローラはボーイフレンドのアレクサンドルと楽しい日々を過ごしていたが、ある日アレクサンドルが警官に暴行をはたらき逮捕されたと連絡を受ける。面会を試みるも、未成年の彼女では保護者がいなければ面会は出来ない。そこで、偶然知り合った病院スタッフのアントワーヌに付き添いを頼むのだった。
ある土曜日の朝、3組はそれぞれの思いを胸に刑務所の面会室へと向かう。
というお話です。
この映画は、3つのストーリーが、同時に進行し、刑務所の面会室で組み合わさるという、ちょっとオムニバスっぽい話なんです。
内容は、監督がボランティアで刑務所への面会に行く人などの手助けをしていた時に、色々な話を聞いて、それを映画にまとめてみたそうです。刑務所の面会室なんて、あまり普通に暮らしていると、関わる場所じゃないですよね。私も、行ったことが無いのですが、人それぞれ、罪も刑期も違うんでしょ。それが、一箇所で、みんな一緒に会うって、不思議な感じがします。
ステファンという男の話は、ある事を刑務所の面会室でやってくれれば、それなりの報酬を支払うと言われ、生活に困窮していたステファンは、悩んで悩んで、一度は引き受けようと思います。そして、色々な展開になっていくのですが、こんな事があるのかというような事です。面白いなぁって思いました。こういう事は、結構、今までに在ったそうです。刑務所の刑務官が教えてくれたそうですよ。ちょっと、日本では考えられないことなので、面白いと思います。
ゾラというアルジェリア人の女性は、自分の息子がどうして殺されたのか知りたいと思い、段々と犯人に近づいていきます。彼女が、理由を求めて、探偵のように、どんどん相手に近づき、潜入していくところが、とても自然で、恐いなって思いました。彼女が、最後に答えを得られるのかどうか、お楽しみに。面会室に行くんだから、まぁ、犯人と会えたって事は解るでしょ。でもね・・・。
最後は、若いローラのお話です。彼のアレクサンドルが逮捕され、刑務所に入ってしまい、会いたくて会いたくて、知り合ったアントワーヌと一緒に会いに行きます。まだ、未成年なのに、刑務所に入ったアレクサンドルは、どんどん心が荒んで行き、表情も変わって行きます。こういうところが、すごいなって思ったのですが、やっぱり刑務所に入ると、孤独が心を蝕んでいくというか、ちょっと凶暴でおかしくなって行くというところが、とっても赤裸々に描かれていて、恐ろしいなって思いました。このアレクサンドルの変化と、若いローラの変化を、良く観てきてください。こんな風になっちゃうのかなってショックを受けました。
刑務所の面会室というテーマで、人の心の深いところを表現していて、なんか、すごいなって思いました。難しい事はわかんないけど、簡単に刑務所って言うけど、簡単には行かない方がいい所なんだって感じました。捕まるような事はしないようにしましょうね。
とてもフランス映画っぽい映画じゃないかなって思いました。とても面白いと思いましたが、フランス映画が好きな方にお薦めいたします。ハリウッド系や邦画を中心に観ている方は、ちょっとスッキリしないかも知れません。
公開は、冬、シネスイッチ銀座他、全国ロードショー予定です。お楽しみにね。
「フランス映画祭」 http://unifrance.jp/festival/2012/
