今日は、「それでも、愛してる」の試写会に行ってきました。東京独女スタイル
さんからの招待です。
ストーリーは、
玩具会社の2代目として会社を率い、結婚20年になる妻メレディス(ジョディ・フォスター)や2人の息子と幸せな人生を送っていたウォルター・ブラック(メル・ギブソン)。ところが突然うつ病を患い、ひょんなことからビーバーの縫いぐるみに命を救われる。ウォルターは元気になったものの、それ以来、左手からビーバーを放せなくなってしまう。
というお話です。
最近、良いニュースが無かったメル・ギブソンを主演に向かえ、ジョディ・フォスター監督助演で製作されました。ジョディが、友達のメルを心配して、自分の作品の主演に迎えたそうですよ。メル・ギブソンには、珍しいほど、平凡で弱い男を演じています。ちょっと、逆ギレする場面は、ショットガンでも持ち出すんじゃないかとドキドキしましたが、今回は、そういうハードなことは無く、ジーンとする感動作でした。
メル演じるウォルターは、親から継いだオモチャ会社を経営していましたが、仕事の事、家族の事などなど、色々な原因により、”うつ”を発病し、どんどん内に篭ってしまうようになります。そんなある日、ビーバーのマペットを手に入れ、それを手にはめていると、そのビーバーの口を借りて、外部との交流が持てるようになります。不思議ですけど、こういう事、あるんでしょうね。
うつの父親と、それを受け入れる事にストレスを感じる妻、嫌悪感を示す長男、素直にすべて受け入れてしまう次男と、家族、それぞれ、受け止め方は違います。でも、本人のウォルターは、ビーバーの口を借りていれば生活が出来て、うつも抑えられている状態なので、それで良いと思っているんです。周りとのギャップが大きくて、誰もが辛くて悲しい状況なんです。これ、辛いですよね。
家族の一人が”うつ”になってしまったら、それをそのまま受け入れるしかないんですよね。どんなにイライラしても、どんなにムカついても、それをそのままぶつけてしまったら、うつが酷くなってしまうのではないのでしょうか。追い詰めてしまっては、イケないのだと思います。でも、この映画では、どうしてもやってしまう家族のそういうイケない事も描いていて、とてもリアルだなって思いました。
息子は、自分の父親が、人に笑われるような行動を平気ですることに嫌悪感を覚えます。やっぱり男性にとって、父親というのは、いつまでも強くて、目標にしたいような人であって欲しいのかしら。その父親、みっともない姿をさらしているのを見ると、辛くて悲しくて悔しくて、情けなくなってしまうんでしょう。その気持ちが、こちらにとても伝わってきて、かわいそうで助けてあげられたらって思ってしまいました。
次男の方は、まだ幼稚園か小学校低学年なのかな。まだ、色々な事が解っていないので、父親の姿を、そのまま受け入れて、”どうしてビーバーなの?”みたいな感じで、素直に父親への愛を表現しています。誰もが、周りの事など気にせずに、接することが出来れば、病状も回復するのだろうけど、やっぱり、年を取れば取るほど、色々なしがらみもあるし、難しいですよね。
ジョディは、監督も兼ねているので、あまり前に出るのではなく、控えめな演技で抑えています。ウォルターの奇妙さと、長男ボーターの嫌悪と愛情の入り混じった気持ち、次男の純粋無垢な心、とても良く表現されていて、どの気持ちも伝わってきて、上手いなと思いました。どの人物にも、感情移入出来るんです。”うつ”は、風邪をひくようなものと言われているので、いつ自分の身に降りかかるか判りませんよね。だからこそ、こういう状態になった時の予行練習ということで、観て、考えることが必要だと思いました。
長男のポーターを、「ターミネーター4」で、カイルの若い頃を演じていたアントン、ポーターの女友達を、「ウィンターズ・ボーン」で話題になったジェニファーが演じています。さすがジョディの監督作品なので、良い役者が出ていますよ。
私は、この映画、お薦めしたい1作だと思います。静かで、考える映画なので、娯楽として楽しみたい方は、ちょっとダメかな。でも、これだけ”うつ/鬱”という病気が蔓延ってきている現代、映画で、その様子を体験することで、自分の周りに起きた時に対処しやすいのではないかなと思いました。うつは、風邪と一緒です。怠けている訳でも、遊んでいる訳でもないんです。周りの人間が、受け入れてあげられる心を持たないと、いつまでも良くなりません。みんなで理解を深めることが大切です。
・それでも、愛してる@ぴあ映画生活
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