昨日、「11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たち」を観てきました。
ストーリーは、
「金閣寺」「憂国」などの傑作、話題作を放ち、文豪として世界からも高い評価を得ていた三島由紀夫(井浦新)。学生運動が全盛を極めている中、彼は民族派の若者たちを集めて民兵組織「楯の会」を結成し、有事が起きた場合には自衛隊と共に決起できるようにと訓練を行っていた。しかし、自衛隊には能動的に出動する機会も権利もないことを知り、落胆と不満を抱えていくようになる三島と「楯の会」の若者たち。そして、そのいら立ちは抑えられないところまでに達し、彼らは日本のみならず、世界中をも震撼(しんかん)させる大事件を起こす。
というお話です。
大作家で、もしかしたらノーベル文学賞を貰っていたかもしれない、三島由紀夫さんが、作家という生活から楯の会の方へのめり込んで、突っ走って、最後を迎えるところまでが描かれています。三島が、作家という人生から、2・26事件を起こした学生の気持ちを理解し、彼の考えにどんどん取り込まれていく様子が描かれていて、こんな風だったのかなぁと興味深かったです。
実は、私のイメージしている三島由紀夫とは、全く違っていたので、何となく、しっくり来なくて、のめり込んで観ることが出来ませんでした。私は、昔から、三島由紀夫の作品が好きで、結構、読んでいるのですが、彼の作品を読むと、すごく繊細で、力強く、男臭くてカッコイイというイメージが私にはあって、今回の井浦さんが演じている三島は、ちょっと違うんですよねぇ。何となく、見た目のどこかに弱さが残っているんです。
三島って、強くて美しくて、決して曲げないという強い意思が感じられて、話をすると、少し、優しさが見えてくるという、弱さを内に隠しているというイメージで、外見に弱さが出ていると、ちょっと三島じゃないんですよねぇ。まぁ、イメージは、人それぞれなので、文句は言えませんが。
イメージは違ったけど、三島の考え方は、観ているこちらにも、ちゃんと伝わってきました。どこまでも、美しい日本を追求するところなど、とても感動でした。美しいって、キレイっていう意味じゃなくて、清い美しさとか、芯の通った精神というものなんです。それは、「金閣寺」の話の中でも描かれていますが、美しくて、自分だけの物にしたくて、破壊に至ってしまう。破滅へと向かってしまうというものです。
確かに、美しく潔く生きようと思ったら、どうしてもまっすぐに進めなくなった時、曲げられずに、自分を破壊するしかなくなってしまうというのは、解る気がします。美しいとは、そういう事です。なんでも、人に左右されて考えを曲げてしまったり、流行に流されたり、そんな人間らしい人間は、美しいとは言えない。だからこそ、人間では居られなくなってしまう。悲しいけど、究極を求めていくと、そこに行き着くのでしょう。
三島の考え方、大好きです。でも、今の政治家やマスコミには、こういう大切なことは理解出来ないのでしょうね。目に見えない美しいものが、この世にたくさんあるということが、解らない人達が多すぎると思います。表面だけの美しさなんて、一瞬の快楽でしかないということを、三島の作品を読んで理解して欲しいな。
この映画、ハッキリ言って、万人には受けないと思います。三島の世界を知っている人、三島という人間を知りたい人には良いけど、それ以外の人が観ても、あまり感動は無いと思います。というか、彼の考え方を、本を読んで、ある程度理解していないと、判らないんじゃないかなぁ。興味のある方は、ぜひ、観に行ってみてくださいね。
・11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たち@ぴあ映画生活
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