「KOTOKO」 彼女の内包する恐怖は、誰の中にも巣食っている。恐怖と共存する手立てを・・・。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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先日、「KOTOKO」を観てきました。


ストーリーは、

まだ乳児である息子を女手ひとつで育て、愛し抜かなければいけないという強迫観念にとらわれ、精神的な変調を抱えるようになってしまった琴子(Cocco)。その果てに奇行を繰り返した彼女は幼児虐待を疑われてしまい、沖縄にいる姉に息子を預けられることになる。そんなある日、彼女のもとに小説家の田中(塚本晋也)が現われる。沖縄行きのバスで乗り合わせ、車中で口ずさむ姿や声に惹(ひ)かれたと語る田中を激しく避ける琴子。それでも思いを伝え続ける彼を受け入れ、息子と共に3人で生きようと決意するが……。
というお話です。

ゆきがめのシネマ、試写と劇場に行こっ!!-琴子2

とても恐かったです。ホラー?と思ってしまうほどに。もう、いきなり、現実なのか、空想なのか判らなくなったりして、観ている自分の方が壊れているのではないかと感じてしまいました。彼女の観ている者が、いったい何なのか。それは、狂気なのか、正気なのか。恐ろしかったです。どんどん、自分も、おかしな世界に引き込まれ、彼女と同化してしまうかもって・・・。

ゆきがめのシネマ、試写と劇場に行こっ!!-琴子4

女の世界は、深い浅いに関わらず、ある程度、二重になっているのではないかと思います。外部に攻撃する面と、自分を守る為に閉じこもる面、どちらも自分だし、肯定する自分も否定する自分もあり、正直であり嘘つきであり、美しくあり汚くもあり、いつも自分の内部に、二つの自分が居る。だから、自分が観る世界も2つあるんです。普段、生活していると気がつかないけど、ふっと立ち止まると、それに気がつく。それが女だと思うんです。そんな女性の内面をとても良く表現していて、驚きました。そして、恐かった。自分が観られているようで・・・。


子供のために精神的におかしくなったと解説してあるけど、子供はきっかけに過ぎないと思うんです。子供を愛さなければという強迫観念は、どの母親にも起こるでしょ。だって、昨日まではお腹の中に巣食っていたエイリアンが出てきたと同じなんですもん。すごく愛せるかと言われても、全てを受け入れるなんて、直ぐには出来ませんよ。段々と愛情が出てきて、自分の子供なんだって認識しながら母親も成長していくんです。


ゆきがめのシネマ、試写と劇場に行こっ!!-琴子1

この琴子は、性格が潔癖っぽくて、自分は完璧だと思っていたんじゃないかな。だからこそ、中途半端に愛するとか、自分は未熟なのだということが受け入れられなかったのではないかと思いました。自己愛が強いと、こうなりますよね。自分は素晴らしい人間だと思っているから、妥協が出来ない。


でもさ、人間なんて、大した生き物じゃないし、一人の力で一人の人間を作り上げるなんて出来るわけ無いじゃん。大体、一人で育てられるなら、女一人で子供も作れるようになるはずでしょ。男女が合わさって出来上がる子供なんだから、自分一人で頑張らなくて良いんだよ。夫でなくても、周りに居る誰かの力を借りるのは当たり前でしょ。恥ずかしいことでも、迷惑なことでも無いんです。もっと、楽に生きて良いんですよって、琴子に言ってあげたくなりました。


ゆきがめのシネマ、試写と劇場に行こっ!!-琴子3


それにしても、映像と音は凄かったですね。塚本監督の作品は、いつも衝撃的だけど、今回も凄かったなぁ。琴子の周りの空気が張り詰めてきて、どんどん迫って来る感じが、その音と映像だけで表現されていて、キツかったです。息苦しくなっちゃいました。


観てすぐに、すべてが理解出来るのではなく、観た後に、じわじわ来るんですよね。どんどん琴子の闇が覆いかぶさってくるような、そんな感じで、描かれているものが理解出来てくるんです。だから、また観たくなる。そんな感じでした。

ゆきがめのシネマ、試写と劇場に行こっ!!-琴子5

この映画は、全体で感じて、考えて、想像する映画なので、結末がハッキリしたりする映画が好きな方にはお勧め出来ないけど、玄人向きというか、映画慣れしている方には、面白いと思います。お勧めしたいです。スッキリする映画が好きな人は、辞めてくださいね。ぜひ、楽しんできて下さい。カメ



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