イタリア映画祭の12作目は、「至宝」を観ました。
ストーリーは、
『湖のほとりで』が日本でもヒットしたモライヨーリ監督が、前作に続いて名優トニ・セルヴィッロを主演に迎えた2作目。イタリアのとある大手食品メーカーにもグローバル化の波が押し寄せるが、身内を中心に固められた家族的な経営では太刀打ちできない。負債は膨らむばかりで、ありとあらゆる手段を取ることになるが…。実際に起こった事件から創作されたということもあってドラマは生々しく、老獪な会計係役を演じるセルヴィッロのいぶし銀の演技も光る。
というお話です。
とてもリアルな企業の裏を暴いていて、驚きました。マジでこんな酷いこと、しているんでしょうね。子供のような作業で書類を改ざんし、悪気も無く公に発表してしまうなんて、恐ろしいですよぉ。これ、東電とかもやってるんじゃないの?放射能の数値とか、切り張りして張ってそうだもんね。なんか、大企業の経営者と経理が、良く考えれば誰でも解るような嘘を平気でつくんです。嘘は大きければ大きいほど解り難いといいますが、あまりにも堂々と嘘つくもんだから、疑わないんですよねぇ。
俗に言う、粉飾決算てやつだと思うんですけど、ある程度、後で埋め合わせ出来そうな額だったりすれば、なんか可愛げがあるのに、もー、トンでもない額を、スイスに預金してありますとか、嘘こくんですよね~。親族経営だから、どうも、会社のお金は自分のお金と勘違いしていて、息子が車買ったりしたお金も会社から出していたりして、どこかで聞いたような話でしょ。ほらほら、四国の大王製紙で、バカ息子がカジノでお金を何億も使っちゃったのと同じですよ。
経営者は、バンバン拡大路線で行こうとするけど、まったく経営が解って無くて、財務部長のポッタが唯一、お金の関係を正しい路線に直そうとしているのですが、もう、正常な経理状態に直せる様な状態ではなくて、どんどん泥沼にはまって行く。その沈み具合が、すごいリアルなんです。実際も、こんな風なんでしょうね。
事業は拡大したいけど、その部門を拡大すると赤字負債が増えると判っているんです。ポッタは、赤字部門は縮小するべきだと言うんですが、経営者は、どれもこれも、縮小したくない、自分の持ち株も減らしたくない、サッカーチームは売りたくないなどなど、強欲なんです。対面ばかり気にするの。そりゃ、縮小し始めれば、経営状態に問題があるのかもと言う事で、株価は一時、下がりますよね。とにかく、ダメダメ経営者なんです。
たくさん売ろうとして最初に安く出したりすると、ダンピングにあって、二度と本当のコストに引き上げられなくなったり、コストの叩き合いになったら共倒れになってしまうとか、考えれば判るでしょ。経営者がバカだと、こんな風になるんだなぁっていう典型の企業です。親族でやっている会社は、往々にして、これ、ありますよね。子供の頃からチヤホヤされているから、経営の厳しさが解ってないの。アホなんです。
この映画、経営をする人、株などで企業を読まなければならない人などだったら、面白く観れると思います。色々解っていても、こうやってリアルな映画として見せられると、もう一度、見直してみようかとか、考えるかも知れません。ついつい、市場の動向に振り回されてしまうのを、今一歩、思いとどまって、裏を読みたくなるかも知れませんよ。この映画、日本公開してくれないかなぁ。面白いんだけどね。
ニュースとかで経済面を楽しく読んでいる人には解るけど、芸能面しか読まない人には、あまり興味がないかも知れません。でも、スーパーで買う製品が、こんな風に供給されているんだということがわかると、面白いかも知れませんよ。 公開するといいなぁ。