イタリア映画祭、4本目は、「楽園の中へ」です。
ストーリーは、
ナポリのスリランカ移民街を舞台に、イタリア人とスリランカ人の奇妙な友情と協同がコミカルに描かれる女性監督ランディの長編デビュー作。ガヤンは希望を胸に、スリランカからイタリアに渡って来た。けれども、クリケットの名選手として祖国で味わった栄光とはかけ離れた現実を前に、早々に帰国を望む。一方で、科学者の職を失ったアルフォンソは、再就職のために怪しい依頼を引き受ける。だが、トラブルに巻き込まれ、偶然に逃げ込んだ先はガヤンの仮住まいだった。
というお話です。
大学で細胞などの研究をしていたのですが、リストラにあってしまい、昔の知り合いである議員候補の男に再就職の世話をして貰おうと連絡を取るんです。普通、何年も会っていなかったのに、いきなり連絡が来て、就職を世話してくれって言われても、ハッキリ言って、迷惑ですよね。議員候補の男は、アルフォンソに関わらないつもりだったけど、ギャングから、ある物を運べと指示され、それをアルフォンソに押し付けることを思いつきます。

そこから、どんどん展開していくのですが、アルフォンソが逃げ込む場所が、スリランカ移民の住宅地なんですね。移民は、他の映画でも、危険だということで悪い印象なのですが、この映画の移民は、スリランカからの移民で、自分達で居住地を作り、結構、人情的な人々なんです。日本で言う、下町のような感じですね。だから、なんか、温かいんです。
今まで、移民と関わる事の無かったアルフォンソは、移民の温かさに触れ、危険が迫っているのに、なんとも、しあわせな一時を過ごします。その緊迫した雰囲気と、穏やかな移民の暮らしは、対比していて、とてもバランスが良く、楽しめました。
そして、アルフォンソは、たくさんの選択を迫られ、その度に白昼夢のように、考えを巡らせます。そのお試し白昼夢が、面白いの。ドラえもんの”もしもボックス”みたいなもんですね。最後の最後にアルフォンソが下す決断はなんなのか、コメディで走ってきた映画も、ここでクライマックスを迎えます。彼の選んだ答えはなんなのか、楽しんでください。

とにかく、楽しめる話です。移民問題を扱っていながら、普段見られている移民の暗い部分を描くのではなく、見る立場を変えて、移民の彼らの声も取り入れて、楽しく描かれているので、なんとなく、異文化の人達が住んでいても良いのかもっていう気持ちになります。ちょっと他の映画とは違うでしょ。
この映画、日本公開はどうかなぁ。とっても面白くて笑えるけど、やはり単館系の作品なので、なんとも言えません。私は、面白いから、みなさんに笑ってみて欲しいけどね。(笑)DVDで、もし出たら、観て見てくださいね。