今日は、「ルート・アイリッシュ」を観てきました。ケン・ローチ監督作品です。
ストーリーは、
2003年3月に開戦したイラク戦争後、バグダッド空港と市内のアメリカ軍管理地域グリーンゾーンを結ぶ「ルート・アイリッシュ」は、世界でも最も危険な道路として有名である。イギリス人の民間警備兵ファーガス(マーク・ウォーマック)は報酬を目当てにバグダッドに赴くが、ルート・アイリッシュで親友が命を落としてしまう。当局が発表した死因に不信感を抱いた彼は、真相を暴くために行動を起こすが……。
というお話です。
戦争は終っても、イラク近辺の紛争は一切終っていないですよね。いつまで経っても、テロが無くならないし、嫌なニュースが流れてきます。そんな地域で、今も起こっているだろう事件を、サスペンス風に、鋭く描いています。重くて、キツイ内容でした。
知らなかったのですが、イラクとかで、守っている人って、アメリカの軍の人だけじゃなくて、民間会社の人だったりするんですね。ビックリしました。公務員じゃないんですね。軍人を行かせると危ないから、お金で動く傭兵を雇って、送っているのかしら。なんか、その仕組みが良く解りませんでした。でも、すごく儲かるみたいな話をしていたので、儲かるんでしょうね。
そんな傭兵たちは、いつもギリギリのところで仕事をしていて、ストレスも溜まるのでしょう。段々と現実世界の常識から離れて行ってしまい、常軌を逸した行動をし始めます。誰もがそうなる訳ではありませんが、悲劇が起こってしまうんです。
いつも襲撃を受け、爆弾を投げられているので、ちょっとした一般人の動きでも、襲撃だと思ってしまい、車が近づくだけでも、携帯をかざすだけでも、銃を向けるのではないかとか、爆弾を投げてくるのではないかと思い、瞬間的に発砲してしまう。ハッキリ言って、極限状態の場所で、一つ間違えば命が無くなるような時に、確認してから発砲しろって言っても無理だと思うんですよ。だから、間違って一般人に向けて発砲してしまう事があっても、攻められないと思います。でもね、もし、間違えだと気がついたら、フォローして欲しいです。仕方ないんですから、助けられるなら助けようよ。そういう気持ちが無くなってしまうほど壊れてしまうようなら、配置を換えてもらうか、その仕事を辞めて欲しい。
守る為に行っているのに、何故か、現地の人に敵と見なされてしまい、襲撃されてしまうなんて、すごく悲しいですね。いつまで経っても、この不条理は解消されないし、結局、犠牲になるのは弱い人間ばかりで、上の方の力を持っている人間は、どんどん利益を増やして、独裁になっていくという、どこまで行っても報われなくて、悲しい世界だなって思いました。
ケン・ローチ監督作品は、この不条理を鋭く突いていくことが多くて、弱い者が犠牲になっていく姿を、重く、辛く描いていくので、観た後、心が重くなります。人間として生まれて、しあわせに思う事も在るけど、このような納得出来ない人間の暗い面を見て、どうして人間は、こんな風に進化してしまったのかと、情けなく思います。
色々、考えてしまう作品なので、元気な時に観に行ってくださいね。暗くて重い作品なので、単館系でこういう戦争物が好きな方は行ってみてください。明るい映画が良い方は、止めた方が良いと思います。この映画、考えれば考えるほど、後から、どんどん利いてきて、考えさせられてしまう映画です。楽しんでくださいね。
・ルート・アイリッシュ@ぴあ映画生活
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