先日、やっとシネマ歌舞伎体験をしてきました。「高野聖」を観ました。
ストーリーは、
勧進の旅の途中で道に迷った修行僧・宗朝(中村獅童)は、たどり着いた山奥の一軒家に一夜の宿を頼む。その家に暮らすなまめかしい美女(坂東玉三郎)は、宗朝が谷川で体をぬぐっていると彼の背中を流し始め、自分も着物を脱いで彼に近づいてくる。あわてた宗朝は川から上がり女の色香に心を乱されるが、鳥や獣たちが彼女の周りに集まる異様な気配に恐れを抱く。
というお話です。
初めてのシネマ歌舞伎、というか、歌舞伎というものを、初めて観ました。とっても美しくて、なんとも言えない空気が流れていて、素晴らしいと思いました。きっと、シネマ歌舞伎と、本当の歌舞伎は違うのでしょうけど、でも、歌舞伎というものに初めて触れるには、とても良いのではないかと思いました。私、歌舞伎って、すごく難しくて、言っていることも良く解らないんじゃないかって思っていたのですが、今回、このシネマ歌舞伎で、結構、現代劇に似ているものなんだなって知りました。舞台は、結構、観に行くのに、どーも、歌舞伎を敬遠していたのですが、このシネマ歌舞伎を観て、本物も観てみたいなって思いました。
泉鏡花の有名な作品「高野聖」。雰囲気が素晴らしく、その恐怖と不安と、どうしても惹かれてしまう魅力と、なんとも言えない色気を映像の中に閉じ込めたような作品で、驚きでした。とにかく、玉三郎さんは、美しいですね。本当の女性です。声も何もかも、女性よりも女性らしいんです。私は、長年女性をやっておりますが、なんだか恥ずかしくなるほどでした。
獅童さんは、僧の役なのですが、いつもの力強い雰囲気ではなく、静かで奥ゆかしく、人の為に生きているというような雰囲気が出ていて、彼もとても色っぽいなって思いました。僧侶と森の中に住む不思議な女性の関わりを描いているのですが、恐ろしくて美しい彼女に魅了されながらも、恐ろしくて触れたくないという感じの、その不安定さを、とても良く表現してあって、感動でした。
普通の舞台とは違い、映画として作っているので、一部分は、自然の中で普通の映画のように撮影していたりして、舞台での撮影と上手く組み合わせていて、面白いつくりだなと思いました。舞台という限られた大きさの中での動きと、自然という制限の無い空間での映像を組み合わせることによって、この高野聖という話の特殊な空間を作り出しているんです。普通に生活をしている現世から、森に入って、不思議な空間に閉じ込められてしまった僧侶の姿を、こういう描き方をすることで、解りやすくしてくださっているんだなと感心いたしました。
最初に、玉三郎さんが、解りやすいように、ある程度の解説をしてくださっているので、とても入り込みやすかったです。私のように、初めて歌舞伎に触れる人間には、こういう雰囲気をこういう風に作ってみたんですという解説を、観る前に教えていただくことによって、心構えというか、すんなり内容を受け入れることが出来たんです。歌舞伎って、こんなに面白くて見やすいものなんだなと、初めて知りました。
私、このシネマ歌舞伎、ぜひ観てみることをお薦めいたします。私のように、初めての方でも、とても楽しめますし、歌舞伎を知っている方も、普通の歌舞伎とは違う試みをしているので、楽しめると思いますよ。私は、このシネマ歌舞伎をまた観てみたいし、ぜひ、本当の歌舞伎も観てみたいと思いました。歌舞伎も、もう少し、チケットとかが買いやすいと良いのにね。なんか、歌舞伎っていうと、チケットをどこで買うのか、どうやって予約するのか、などなど、良い席を買うには、どこかに入会しないとダメなのかとか、色々調べてみないとなぁ。若い人向けの、ぴあだけで販売する歌舞伎とか、ネットのみで販売するとか、なのかないのかなぁ。もっと調べてみよっと。
シネマ歌舞伎、ぜひ、体験してみてください。新しい世界が広がりますよ。
・《シネマ歌舞伎》高野聖@ぴあ映画生活
シネマ歌舞伎『高野聖』 - goo 映画