今日は、「わが母の記」を観てきました。この試写会は、「東京独女スタイル 」の試写会ご招待で行ってきました。
ストーリーは、
昭和39年。小説家の伊上洪作(役所広司)は実母の八重(樹木希林)の手で育てられなかったこともあって、長男ではあるが母と距離をとっていた。しかし、父が亡くなったのを機に、伊上は母と向き合うことになる。八重もまた消えゆく記憶の中で、息子への愛を確かめようとしていた。
というお話です。
原作は、文豪・井上靖さんの自伝的小説です。時代は、「ALWAYS」で描かれている高度成長期かな。
戦後、日本も復興してきて、人がどんどん動き出したという感じの時代です。そんな精力的な時代に小説家として活躍していた主人公の伊上は、両親を大切にはしていたけど、どうしても母親をどこかで許せないという気持ちを抱えています。
伊上が子供の時代は、戦争もあり、大変な生活だったのだと思いますが、そこは描かれていません。でも、その時代、夫が不在の中、子供3人を連れて、生きるのは大変だったことでしょう。いつどうなるのか分からない時代なのだから、母親は、子供を守る為に、色々な手段を講じて、安全な道を模索したのだと思います。その部分は描かれていないけど、映画を観ていくうちに、そういう深いところも読み取れてきました。
そんな不安定な時代に、母親は、伊上を日本の義母のところに預けて、下の二人の女の子を連れて、父親の待つ台北へ旅立ちました。母親は、守る気持ちで置いていったのですが、伊上は、自分だけ置いて行かれたということで傷ついているんです。義母の存在も、ちょっと難しい関係で、色々あるんですが、そこは映画を観てくださいね。
どうしても母親が自分を捨てていったという気持ちを捨てられない伊上は、どんどんボケて行く母親を世話しているうちに、もしかしたら本当は捨てたのではないのではないかという事に気がつき始めます。色々な事件があり、自分の娘たちも成長し、母親と向き合った時に、本当の深い母親の愛を感じるんです。
母親って、子供を無条件で愛してくれますよね。いつも愛してくれているから、その愛に気がつかないんです。一度でも、冷たくされたり、突き放されたりすると、あまりのショックに、その事だけ覚えているんです。誰でもそうだと思うんだけど、母親の愛は空気のようで、その大切さに気が付かないんです。その大切な事を与えてくれている母親は、順番で行けば、自分より先に死ぬはずだし、その深い愛を、誰もが必ず失うんです。だからこそ、生きているうちに感謝したいし、その愛を返したいと思いますよね。親は大切にして、長生きして欲しいよねぇ。
そんな事を思った映画でした。映画の内容は、ボケちゃったおばあちゃんとの掛け合いがとっても面白くて、結構、笑える場所も多く、そんな笑いの中にじんわりと感動が沸いてくるという感じで、良い映画だと思いました。本当に、樹木希林さん、上手いですね。そんなに老人ではないのに、ボケた老人の役、凄かったです。役所さんも、安定していて、安心して観ていられました。
私は、お薦めしたい映画だと思います。でも、じんわり感動ものがあまりタイプではない方は止めてください。でも、この映画、若い方にも観て欲しいな。だって、若い頃って、お母さんにべたべたされるのって、ウザいとか思っているでしょ。でも、あっという間に親は年を取るし、いつ居なくなってしまうか判らないの。出来れば、早いうちに、親のありがたさを知ったほうが、有意義な人生を送れるよね。
「東京独女スタイル 」 http://www.dokujo.com/