「しあわせのパン」を観てきました。
ストーリーは、
りえ(原田知世)と尚(大泉洋)夫婦は、東京から北海道の月浦に引っ越し、パンカフェ「マーニ」を開店する。夫が丁寧にこねたパンに見合う料理を作るのは妻の担当で、いつも季節の食材をふんだんに使った料理がテーブルを彩っていた。そんな「マーニ」には、それぞれ何かしらの事情を抱えた客たちが店を訪れるものの、帰りには不思議とみんな心が軽くなっているのだった。
というお話です。
とても雰囲気の良い、ステキな映画でした。じんわりと心の動きを描いていく映画なので、アクションやサスペンスなど、派手な映画が好きな方には、ちょっと受け入れられないかもしれません。でも、私は好きな映画だなぁ。
東京で疲れてしまったりえ(原田さん)さんを連れて、水縞くんは北海道の月浦に引っ越してきます。この夫婦、夫婦といいながら、仲間や同僚というような雰囲気で、りえさんは、どーも水縞くんと距離があるんです。彼らの過去は、一切映画の中では触れていませんが、そのナレーションや雰囲気で、りえさんは、東京で随分ストレスを受けて、”うつ”状態に入ってしまったのではないかと思いました。そんな彼女を救うべく、水縞くんは、彼女を連れて北海道に渡ったのではないかと思います。そんな二人が、この地で癒され、段々と本当の夫婦になっていく様が私には見えました。
夫婦の店に来る客も、様々で、色々な悩みや苦しみを抱えているんですけど、この夫婦といっしょに過ごすことによって、段々と癒されていきます。東京から来た女性、北海道に住む親子、大阪から来た老人夫婦など、人間、生きていると、色々な悩みが出てきますよね。他人から見れば、大したことじゃないかも知れないけど、本人にとっては、すごい深刻な問題なんです。そんな問題を、訳隔てなく、ひとつづつ、傍に寄り添うことで、癒していくりえさんと水縞くん夫婦。なんか、とってもステキでした。こういうやさしさって、大切ですよね。
悩んでいる人は、アドバイスなんて必要ないんです。だって、必死で自分で考えているんだから。でも、そんな自分の考えに自信が持てないし、寂しいし、どうしていいのか解らない。不安で、イラついて、叫びたくなる。そんな状態の人間には、傍に寄り添って、温かい食べ物と飲み物と、そして少し触れて、味方なのだと伝えることが大切なのではないでしょうか。医者に行っても、占いをしてもらっても、お金を取るだけで、寄り添って、味方になってくれることは無いと思います。
こういう事って、絶望を体験した人間にしか解らないと思うんです。この映画の中でも、そういうセリフがあるんですが、痛みを知らない人間には、人の痛みは解らない。そして、痛みを知らなければ、本当のしあわせを知ることが出来ないのではないかという事です。いつも逃げてばかりで、安定した低空飛行を続けているより、高低があって、乱気流にも突っ込むくらいの人生の方が、しあわせというものを感じられると思いますよ。自分の人生だから、苦労しろとは言わないけど、逃げてばかりでは、本当のしあわせはやってこないです。
原田さんの透明な雰囲気が、このりえさんにピッタリでした。彼女の透明感は、雪に似合いますね。そんなりえさんを包み込むように守っている水縞くんに、大泉さんもピッタリでした。ボンヤリしているようで、繊細なりえさんを包んでいるパン生地のような、温かい雰囲気がステキでしたねぇ。他のキャストもピッタリでした。満足です。
大切な事を教えてくれる映画でした。もし、好きな人が居たら、ぜひ、一緒に観て欲しいです。ケンカしちゃった後とかに、この映画を観ると、仲直り出来るかもしれません。私は、お薦め映画ですよ。
私には、このりえさんと水縞くんの夫婦、理想です。今は、ガツガツ仕事をしているけど、年を取ったら、こんな風に静かに暮らせる生活が出来たらなって思いました。
・しあわせのパン@ぴあ映画生活
しあわせのパン - goo 映画