今日は、「麒麟の翼」の試写会に行ってきました。東野圭吾さんの原作シリーズも、TVシリーズも好きで、映画も楽しみにしていたんです。この麒麟の翼は、まだ文庫化されていないので、読んでいないのですが、映画は原作通りなのかな?
ストーリーは、
腹部を刺された状態で8分間も歩き続け、東京・日本橋の麒麟(きりん)の像の下で息絶えた男性。一方、容疑者の男は逃亡中に事故に遭い、意識不明の重体となる。日本橋署の加賀恭一郎(阿部寛)は事件を捜査するにつれ、関係者の知られざる一面に近づいていく。被害者はなぜ必死で歩いたのか、はたまた加害者の恋人が彼の無罪を主張する理由とは……。
というお話です。
人は嘘をつく。だからこそ、恐ろしい事も起こるし、素晴らしい事も起こる。それにしても、この映画に出てくる人物たちは、悪意が有るにしろ無いにしろ、本当にたくさん嘘をつくんですよねぇ。それも、人を守る為ではなく、自分の身を守る為の嘘ばかりで、いい加減にしろって思っちゃいました。人を守る為なら仕方ないけど、自分を守る為の嘘は、ただ、卑怯なだけでしょ。
その嘘で、加賀たちは、振り回されるんですけど、段々と真実にたどり着いていきます。一つ一つ、積み上げて、という、地味な捜査で進んでいくんです。だから、それほど派手なアクションも無いし、すごい謎を解いていくとかも無いんです。うう~ん。
映画としては、ちょっと物足りないかも知れません。既にシリーズで、ある程度の情報が出ちゃっている分、被害者と加害者の謎のみに焦点を絞っているのは解るんだけど、なんだか、魅力的じゃないというか、必死で見なくちゃっていう感じじゃないんですよねぇ。やっぱり、このシリーズは、TVでやったほうが面白いんじゃないかしら。

同じ東野さんの作品の「容疑者Xの献身」は、石神(堤さん)を中心に話が進んでいたでしょ。だから、とてもまとまりがあったんだけど、「麒麟の翼」は、加賀が主役と言いながらも、被害者側に行ったり、加害者側に行ったりで、誰の考え方を中心に据えているかというのが解り難いんですよ。考え方がブレちゃうの。そんな訳で、内容にそれほどのめり込めないんです。
加賀の父親との関係も描いているのですが、あまり意味が無くて、死ぬ直前に人が思う事は、元気な時に話していた事とは違うのだというヒントのみなんです。この父親との下りは、麒麟の翼じゃない小説から持ってきたんじゃないかなぁ。だって、私、麒麟の翼は読んでいないけど、この父親との話は知っていたもん。デジャブ?
息子役の松坂くんが、結構、良かったですね。感情の表現の仕方がとても上手くて、こちらに伝わってきました。中井さんは、もち完璧ですよね。ガッキーは、もともと上手いし、他のキャラクターは、TVドラマと同じようだったので、違和感はありませんでした。ラスト、哀しいけど、でも涙は出なかったな。どちらかと言うと、麒麟の翼ということで、飛び立つ感じで、ホッとして、良かったねって思えるようなお話でした。
この映画、新参者シリーズで、面白いことは面白いのですが、あまり期待してしまうと、TVドラマと同じようなテンポなので、短時間で勢い良く進んだり、少しじっくり考えたりという映画としてのメリハリが感じられないんです。面白いからお薦めはしたいけど、映画として期待してしまうと、ちょっとアレかなぁ・・・。
TVの続きと思って、ゆっくり観に行けば、結構、感動も大きいかもね。
・麒麟の翼 ~劇場版・新参者~@ぴあ映画生活
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