今日は、「ラビット・ホール」を観てきました。
ストーリーは、
郊外に暮らすベッカ(ニコール・キッドマン)とハウィー(アーロン・エッカート)夫妻は、愛する息子を交通事故で失った悲しみから立ち直れず、夫婦の関係もぎこちなくなっていた。そんなある日、ベッカは息子の命を奪ったティーンエイジャーの少年と遭遇し、たびたび会うようになる。
というお話です。

観ていて辛くなるような映画でした。自分の身近な人が死んでしまったら、いったいどうなってしまうんだろう。その辛さは、その出来事にぶち当たってなければ、解らないと思います。この映画は、そんな遺族の彼らが、時間をかけて、段々と癒されていく、それは他人に慰めてもらうのではなく、自分達で傷を再生させていくのです。
ニコール演じるベッカは、8ヶ月前に4歳の息子を交通事故で無くし、まだ立ち直れずに、精神的に参っています。段々と、息子が居なくなったことを認識させられ、遺族会などでキズを舐めあうのもみじめで受け入れられず、どうしようもないところまで追い詰められているんです。そんな時に、加害者である少年に出会います。

ベッカは、自分だけが悲劇を背負ったと感じていたのですが、加害者である少年も、深く傷ついていることを知り、考えが変わって行きます。その少年が描いているコミックに、パラレルワールドの事が書いてあり、たくさんの世界があって、幸せな自分が他の次元にいるのだと思って、前向きな考えに動いていくんです。時間が、自分だけでなく、周りも見れるようにしてくれたんでしょうね。
それにしても、子供を亡くした夫婦の苦しみ方は、尋常じゃありませんでした。自分達の大切な人が、突然、目の前から居なくなってしまったら、それも、恨む相手が居ないとなったら、あとは自分を責めるしかないんですよね。あの時、こうしていれば、ああしていれば、いくら考えても、答えなんて出ないのに、自分の殻に閉じこもってしまう。
こうなった時って、周りにワイワイ同情されたりするのって、すごくイヤですよね。良く、ワイドショーとかで、被害者の遺族の方にインタビューしているでしょ。みなさん、一般の誠実な人だから、必死で答えてくれているけど、惨酷なことですよね。思い出したくなかったりする事なのに、無理やり、思い出させて話を聞くわけでしょ。酷いですよ。相手の気持ちなんて、一切考えて無い。自分の利益の事だけですもん。見ていて腹が立つことが良くあります。マスゴミの惨酷さというか、非人間的な姿は、動物にも劣ると思います。
そうそう、ラビット・ホールというのは、チラシの解説に、不思議の国のアリスのうさぎの穴のことって書いてあったけど、加害者の少年が書いているコミックの題名が「ラビット・ホール」という名前で、うさぎ穴のような迷路に続く穴に入り、出てみると、違う世界が開けているという、パラレルワールドへ続く道の事を言っていて、今居る世界が受け入れられないベッカには、他の世界があるのだということが救いになるんです。ステキでしょ。
私、この映画を観て、家族を震災で亡くした方に、がんばれがんばれって言うのは、酷な気がしました。もちろん、元気のある人には、一緒に頑張ろうって話すのも必要だけど、傷ついている人に対して、早く元気になれと無理強いするのは、良くないと思うんです。何事にも時間がかかります。特に大切な人を亡くした場合には。周りの者は、いつも見守ってあげて、彼らが段々とこちら側に戻ってきてくれるのを待ってあげることが必要なのでは?もちろん、身体や精神も心配なので、周りからのフォローも大切だと思います。まだ、震災から1年経ってないんです。街は復活しても、人が復活するには、時間がかかります。
この映画、私は、お薦めしたいです。良い映画だと思いました。派手な映画ではありませんが、人間の心の動きを繊細に描いていて、その苦しさなどが、ジンジン伝わってくるんです。こういうステキな映画は、ぜひ、観て欲しいなぁ。
・ラビット・ホール@ぴあ映画生活
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