【東京フィルメックス】「ミスター・ツリー」 不思議な主人公の周りには、哀しい亡霊が付きまとう。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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東京フィルメックスで、「ミスター・ツリー」を観ました。


ストーリーは、

主人公は、雪に覆われた鉱山の村に住む若者、シュウ。友人たちがそれなりに成功する中、いまだ独身のシュウは自動車修理店で働いている。シュウは少年時代に父親と兄をなくしており、それはしばしば悪夢としてシュウの脳裏によみがえる。村は鉱山会社の都市計画のために日々変貌し、人々は次々と村を出てゆく。シュウも旧友を頼りに近隣の都市で働くことにするが、マッサージ店で働くシャオメイに一目ぼれする。意を決したシュウはシャオメイに求婚し、二人は結婚するが......。

というお話です。


ゆきがめのシネマ、試写と劇場に行こっ!!-ツリー3

主人公のシュウは、ちょっと天然で、ずーっと変わらない象徴のような存在なんです。周りのみんなが近代化する社会に順応していく中で、彼だけは、昔のまま、のんびりと幸せに暮らして行けると思っているんですけど、どんどん社会は変わって行き、とても住み難くなっていくんです。


シュウは、いつも”忙しい忙しい”と言いながら、フラフラ、町を歩いています。仕事も人より遅いし、すぐサボるし、ハッキリ言って、適当な男です。それでも、親族の工場で働かせて貰っている時は良かったのですが、ある日、溶接作業中に目を怪我して、解雇されてしまいます。それから、おかしな方向に運命が曲がっていってしまいます。


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目を怪我したせいなのか、昔、誤って父親に殺されてしまった兄の霊と、殺してしまった父親の霊が目の前に現れるようになります。アメリカ文化に憧れた兄が、自由な服装で恋愛などを楽しもうとしたばかりに、犯罪者と間違われ、怒った父親が木に兄を吊るしたんです。あまりに力を入れたために、首が絞まり死んでしまいました。その事を、シュウは忘れられず、いつも兄に会いたいと思っていたんです。


普通に生活したいと思って、シュウは、一目ぼれしたシャオメイと結婚するのですが、どんどん、霊が目の前に現れる回数が増え、意識がおかしくなっていきます。精神的におかしくなっていく半面、霊に会うおかげなのか、未来も予知出来るようになり、妻は離れていきます。


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不思議なシュウは、ふらふら、風に流される樹の様に、変わらずに、ただ、同じ場所に留まります。誰が居なくなっても、居る場所が無くなっても、同じ場所に・・・。とても不思議なお話でした。この話をなんと表現してよいのか判りませんが、時代に取り残されていく人間の寂しさのようなものが見えました。でも、本人は、寂しくないのかも知れませんね。だって、いつでも、好きな人とは、意識の中で会えるんですもん。


私が思うに、結局、自分の中に逃げ込んでしまった人が一番幸せなんですよね。だって、好きな人はいつも隣に居るし、死んだ人も帰ってくるし。でも、周りに居る人間には、すごく迷惑だよなって思いました。苦しいことは、すべて周りの人間が請け負わなきゃいけない訳でしょ。そりゃ、ムカつくよなぁ。だから、シュウの弟は、とても怒っている様に見えました。


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面白いと思ったのは、古い村で低い生活水準の人達は、タバコを吸い、お酒を飲むのですが、成功して、都会に移り住み、セレブとなった人は、タバコも酒もやらないんです。むしろ、タバコなどは嫌がっているんですよ。近代化した人々と、昔のままの人々の違いを、生活習慣などで表現していました。面白かったです。


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この映画、静かで不思議なヒューマンドラマなので、観る人を選ぶと思います。これも、上海映画祭で受賞をしている作品で、確かに、映画祭などだと賞に絡んできそうな内容です。そういうのが好きな方には、お奨め出来るかな。でも、日本公開は、まだ決まっていないみたい。公開すると良いですね。カメ



東京フィルメックス     http://filmex.net/2011/



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