先日、「エンディングノート」を観てきました。
ストーリーというか、ドキュメンタリーなので、映画紹介は、
営業マンとして高度成長期の会社を支え、気がつけば管理職。40年以上も勤め上げた会社を67歳で退職した砂田知昭。第二の人生を歩み始めた矢先に健康診断で胃ガンである事がわかる。すでにガンが最終段階にまで進んでいる事を知った砂田は、家族のため、そして自分の人生を総括するため、“エンディングノート”を作成し、人生最後のプロジェクトを成し遂げようとする。そんな砂田を映像作家の娘が撮り続ける。
という内容です。
この映画、凄かったです。だって、自分の父親が死ぬまでを、克明にビデオに撮っているんですよ。普通なら、辛くて取れなくなると思うんだけど、撮っている彼女にとっては、撮ることが愛情だったんでしょうね。すごいことだと思います。
元気だったときの砂田さんは、ふっくらしていて、精力的なのですが、ガンになって、どんどん痩せていきます。そんな姿を克明に映していて、人間って不思議だなと思いました。機械と同じように、古くなれば劣化していき、段々と錆びてくる。その錆が酷くなると、全体に広がって、手の施しようが無くなってしまう。錆は、どんなに良い機械にも出てきてしまうけど、ちょこっと出来た時に気がついて、補修すれば、また長年持つ事になる。補修が大切よねぇ。

人間って、生まれたら直ぐに、死に向かっているんですよね。どんなに頑張ってみても、死ぬんです。だから恐がらなくて良いという方もいらっしゃいますが、やっぱり、死は怖いです。何時、どうやってやってくるかも判らないし、死んだらどうなるのかも判らない。死を考えると不安になります。まだ、やりたい事もたくさんあるし、明日はどうなるか判らない感が、ギャンブルっぽくて好きだし、まだここに居させて欲しいな。神様お願い!って思います。でも、その時が来たら、覚悟して、砂田さんみたいに、段取りよくエンディングノートを書いておかないといけませんね。

これを観た方はきっと、会社人間で、定年まで働いて、やっとゆっくり出来ると思ったらガン宣告なんて、可哀想だと思うのでしょう。でも、私は、この会社人間というのが、許せません。働いている時に立ち止まって考えて、家族と一緒に生きるようにしていれば、こんな事にならなかったのではないかと思います。会社はお金を、生活費を稼ぐところです。趣味ではありません。夜の接待とか休日の接待ゴルフとか、いい加減にしろって感じです。会社の金を使って、遊んでいるだけ。そして会社には何の特にもなりません。
ガンというのは、必ず前兆があります。そんな事でって言われるかも知れませんが、本当に些細なことが重なってくるんです。もし、定年した後に、家族みんなで暮らしていたら、その前兆も判ったのではないかと思います。便秘が続くとか、吐き気がするとか、頭痛が酷いとか、ちょっとした事が続くのが、一番怖いです。私の父も、便秘が続くなと言っていたら、大腸ガンでした。みなさんも、本当に気をつけてください。
私、この映画を観ていて、実は、父親の事を思い出しました。笑っちゃうんですけど、この映画の砂田さんが入院していた病院と同じ病院でした。どこかで見覚えあるなぁって思ったの。父は、胃ガンと大腸ガンでした。転移ではなく、併発です。ギリギリ、手術が出来る時に見つかったので、とにかく、お腹を開いてみましょうという事で、手術をしました。なんと12時間くらいかかりました。朝早くに手術室に入って、夕方いや夜に戻ってきました。父は、術後の経過も良く、こちらに戻ってきましたが、この映画の砂田さんは、戻って来れなかったんですね。本当に、どこで、生死が分かれるのか、不思議なことです。
この映画を観た後、母親に、こんな映画で、同じ病院に入院して、亡くなったんだよって話したら、考え深げな顔をして話してくれたのですが、父が入院して直ぐの時に4人部屋だったのですが、その4人の内、父以外の2人は、手術をしても亡くなったそうです。もう一人は判りませんが、ガンは、高い確率で死に至る病気です。あっという間に亡くなる方も、何年も抗がん剤で生きる方も、父のように克服する人も居るのです。
