東京国際映画祭、コンペティション部門「プレイ」を観ました。
ストーリーは、
本作は実際のいじめ事件を鋭い洞察力で描いたものである。スウェーデンのヨーテボリ中心部で2006年から2008年にかけて、12歳から14歳の少年グループが他の子どもたちにカツアゲを働くという事件が40件ほど起きる。少年たちは“リトル・ブラザー・ナンバー”や“ブラザー・トリック”と呼ばれる手の込んだ手口を用いていた。それは肉体的な暴力というより、高度なロールプレーイングとギャングのレトリックを用いたものだった。
というお話です。
スウェーデンでは、アフリカ系や色々な人種の移民が入ってきて、犯罪も増えているようです。そんな時に、子供のギャングが40件ものカツアゲというか強盗をしたという事件があり、この映画を考えたそうです。
映画を観ていて、とにかく、イライラするんです。黒人の男の子5人位で、白人の男の子2人とアジア系の男の子1人を囲み、最初は暴力を振るうのではなく、話をしたいというような事を言って、逃げられないように恐怖を与えるんです。そして、持っているものを、奪うんじゃなく、賭けで勝ったから貰うんだっていう屁理屈を付けて、奪うんです。
ハッキリ言って、拉致しているんですが、彼らを連れて行くところを、たくさんの大人が観ているのに、全く無関心だし、バスや電車の中でも、危ない目に合っても、最後の最後まで声をかけないんです。おかしいでしょ。危ないと思ったら、直ぐに警察に電話するべきだと思うんだけど、スウェーデンの人達って、どうなっちゃっているんだろう。子供達だって、怖い黒人の男の子達に無理強いされているのに、全然助けを求めないんです。普通、”助けてください。警察に電話をしてください。”って周りに言うでしょ。なんだか、どっちも、相手にしていないって言うか、関わりたくないのかしら。酷いですよ。
ネタバレになってしまうんだけど、最後の方で、カツアゲをされた白人の男の子の父親が、犯人の黒人の男の子を見つけて、盗まれた携帯を取り返すのですが、それを観ていた女性が、”移民の子供に、そんな乱暴を働くなんて、見逃せない。警察に連絡する。”と言うんです。ここで、私のイライラはMAX!悪いのは黒人の男の子で、事件の一面しか見ていない人間が、どうしてそんなに強行に抗議してくるのか、腹が立ちました。確かに、父親も、事件後直ぐに警察に届けを出して、その移民の男の子を捕まえてもらうのが筋でしょ。そうすれば、犯罪も止まっていたのに。
とにかく、理不尽なことばかりで、ムカつくんです。それは、誰もが、人の事に無関心で、物事の一面しか見ていないからだと思うんです。もっと、相手の話を聞いて、物事を理解してから、人に意見をすることが大切なのに、今、目の前にあることしか見ていないから、誰も助けられないし、誰も助けてくれないんです。そんな事を、とても考えさせられる映画でした。
この映画、人気は出ないかもしれないけど、すごく考えさせられる映画で、日本のいじめ問題にも通じるものがあるのではないかと思いました。日本での公開は、ちょっと判らないけど、もし、観る機会があったら、考えてもらいたい問題だと思いました。
第24回東京国際映画祭 http://2011.tiff-jp.net/ja/