東京国際映画祭、コンペティション部門「トリシュナ」を観ました。
ストーリーは、
現代のラジャスタンを舞台にしたこの物語でトリシュナ(フリーダ・ピント)は若く裕福なイギリス人ビジネスマンのジェイ(リズ・アーメッド)に出会う。彼は父親のホテルで仕事をするためインドにやってきた。トリシュナの父親のジープが事故で壊れた後、彼女はジェイのもとに就職し、ふたりは恋に落ちる。しかし、工業化や都市化、さらに教育の変化によって急速に変わる農村社会の矛盾したプレッシャーは、愛し合うふたりでも逃れることができない。トリシュナは彼女が受けた教育により抱いた夢や志と、伝統的な家庭生活との狭間で悩む。
というお話です。
私は、元になった「テス」の原作も、昔の映画も観ていないので、比較が出来ないのですが、この映画、とても面白いと思いました。現代のインドが舞台なのですが、インドでは、今も、女性は一人の男性にすべてを奉げるというか、依存するというのが当たり前なんでしょうか。なんだか、とても衝撃的でした。
金持ちのボンボン息子に引っかかってしまったトリシュナの悲劇を描いているのですが、現代の日本人女性として生きている私には、途中でいくらでも、こんなバカ男から離れるチャンスはあったのに、どうして付いて行っちゃうのよぉって、映画に向かって叫んでしまいました。
トリシュナという女性は、本当に美しくて、まだ何も知らない田舎の娘だったんです。そんな時、アルバイトをしていたホテルのレストランで、このバカ男と出会ってしまいます。それが運のつき。どこまでも、その男に振り回されてしまうんです。
トリシュナの家は、貧乏で子供も多く、収入が少なくて困っていたのですが、そんな時にこの男に知り合って、男の父親が経営しているホテルで高給で雇ってくれるというので、働きに行くんです。家族も、そのお金を当にしているところもあるので、トリシュナは、簡単に断れない状態なんです。なんか、日本の時代劇みたいでしょ。(笑)
トリシュナは、最初に愛し合った男、ジェイに、本当に尽くします。でも、ジェイは、御曹司なので、人の気持ちを思いやるという教育を受けてきていません。相手の気持ちを一切考えないジェイと、相手の立場と、周りの目を気にするトリシュナが、上手く行くわけ無いですよね。最初は良いけど、状況は悪くなるばかり。もし、私なら、こんな男、グーで殴って蹴り倒して別れて来るけど、トリシュナはやさしいし、インドという国での女性の状況も、そんな事が出来る感じではないんでしょうね。可哀想でした。
可哀想だけど、自分の人生を人に依存すると、必ず辛い状況になって行きますよね。自分の足で立ち上がらなければ、決して、明日は開けないんです。自分の足で一歩を踏み出せなかった女性の悲劇と見て良いのではないかと思いました。
トリシュナは、バカ男と出会ってしまったけど、バカな男ばかりではないので、もし、良い男性に出会ったら、自分の人生を委ねてみるのも良いかも知れませんよね。でも、男性の立場になると、全部自分に依存されるのも、しんどいから、ある程度、自分の足で立っている女性の方が好まれるかもしれないなぁ。

この映画、マイケル・ウィンターボトム監督だし、フリーダ・ピントさん主演だし、内容も文学的で面白いので、日本公開したら、結構、沢山の人に観てもらえると思うんだけどなぁ。日本公開して欲しいです。普通に、シネコンとかでやっても、問題ない作品だと思います。

第24回東京国際映画祭 http://2011.tiff-jp.net/ja/