東京国際映画祭、コンペティション部門「デタッチメント」を観ました。
ストーリーは、
臨時教師のヘンリー・バルト(エイドリアン・ブロディ)の目を通して、アメリカの教育システムを独創的かつ様式化して描く。ヘンリーは、短期間にできる限りのことを学生たちに授けながら、彼らの人生の局面に関わっていく。経営状態の悪いパブリック・スクールで仕事をするようになり、偏狭だった彼の世界は、出会った教師、生徒そして事務員たちによって次第に開かれていく。人との繋がりは必要と思う一方、他人との距離をますます取ろうとする現代人の感覚を、監督は描いている。
というお話です。
不良高校を渡り歩いてきた教師ヘンリーは、新しい学校でも同じように、生徒たちに勉強することが未来へ繋がるということを教え始めます。しかし、どんなに教師が生徒のことを考えても、親は、学校に関心が無く、子供も教師への信頼を無くしています。現代の教育現場の問題を、描いています。
生徒は、自分の自由に出来なければ荒れるし、親は、自分の子供の事しか目に入れず、周りをまったく考えないモンスターばかり。教師は、そんな生徒や親からのストレスで、精神のバランスが崩れてしまう。そんな学校の中では、何が正しくて、何が間違っているのか、まったく検討が付きません。恐ろしい無法地帯に陥っています。

それにしても、いつから教育がこんな事になったんでしょうね。モンスターペアレンツというのは、現代、問題になっていますが、いつから親が学校に文句を付けるようになったんでしょう。確かに、能力の無い教師は多いと思います。私も、能力の無い教師と、随分戦いましたから。子供の頃ね。(笑)今のモンスターペアレンツっていうのは、自分の子供を自分の所有物と思い、所有物を傷つけられたということで怒っているだけで、子供の為に怒っているとは思えませんね。頭の良い子供なら理解出来ると思うけど、親は、貴方の事なんて、何も考えて無いんですよ。そんな親なら、子供が捨てた方が良いです。

教師も人間なのだから、好き嫌いもあるし、間違いもする。生徒をまったく信用しない人間も居る。それは、人間性ですよね。教育学部を出た人間で、国家試験に受かれば教師になれるというのって、少し考えた方が良いと思いました。人に教えることに向いている人間と向いていない人間がいるのですから。
映画の中でも、教師をやっていても、向いていない人間が何人も描かれていました。生徒との距離感の取り方が間違っているんです。近づきすぎてもダメ、遠くてもダメ。難しいですよね。そして、ちょっとした事で傷ついてしまう子供達。なんとも、難しい問題をたくさん描いていて、色々悩んでしまいました。

教師ヘンリーの目を通して描かれる、荒れていく学校、自分の事しか考えない親、壊れていく教師、そんな大人を見て、未来に希望を持てなくなり、絶望感に捕らわれてしまう子供達を描いています。ハッキリ言って、どうして解決出来ないんだよっ!!って怒りが込み上げてきました。教育の問題は、国を左右するので、国全体で考えていかなければならない問題だと思います。

この映画は、娯楽作品として観るのも良いですが、教育の事を考える為に、多くの人に観てもらえれば良いなって思いました。但し、解決が見つかる内容ではないので、辛いっちゃ辛い映画です。日本公開されるようでしたら、判ってみてくださいね。
第24回東京国際映画祭 http://2011.tiff-jp.net/ja/