東京国際映画祭、コンペティション部門「より良き人生」を観ました。
ストーリーは、
コックのヤン(35歳)とウェイトレスで9歳の子供の母親であるナディア(28歳)は、レストランを買うため無理をして、借金を作ってしまう。結局、彼らは、気がつけば資金繰りと銀行ローンの泥沼にはまり途方に暮れる。その状況から抜け出すには、ナディアはカナダで職に就かなくてはならず、一方、ヤンはレストランを守るためその場に留まらなくてはならない。容赦なく殺到する債権者たち、無慈悲な制度、そして息つく間もない日々に彼と子供は追われることになる…。しかし、ヤンはついに、彼が唯一救われる道は、より良き人生を求めナディアのいるカナダに行き、愛する者と一緒にいること、そして母と子を再会させることだと気付くのだが・・・。
というお話です。
どう考えても無理だろって思うような計画で、夢を現実にしようとする主人公たちに、「頭悪いの?」って言いたくなってしまいました。だって、誰がどう考えても、そのレストラン購入は無謀としか言いようが無かったです。ビックリしちゃいました。真剣な映画だから、笑わなかったけど、普通に、あの計画を聞いたら、私、大笑いしていたでしょう。ま、普通は、あの状態なら、銀行がお金貸さないけどね。(笑)
大体、彼女と知り合ったきっかけが、学食のコックをやっているのがイヤで、高級料理店を回って、雇ってもらおうとするんですけど、経験も無いし、意気込みだけなんだもん、雇ってくれるわけないですよね。門前払いを食った料理店の案内係だった彼女と知り合い、いきなりベットインって、どういうこと。あまりにも軽すぎるでしょ~!(笑)そんなこんなで知り合って、経験も無いのに、レストランを開くって意気込んで、レストランになる物件を購入って、どー考えても、無能な人間のやることとしか思えん!!夢は、見るだけなら許されるけど、現実にしようとするなら、よほど準備をして、慎重になることが必要です。

そんな若気の至り(既に35歳なのに。)っぽい失敗をして、大変な状態になってしまうヤンとナディアと息子。なんとか立て直そうとするのですが、一度、掛け違えてしまったボタンは、簡単には直りません。早い段階で、土地などを売却してしまえば良かったのに、意地で売らなかったばかりに、どうしようもない状態までになっていきます。本当に、恐ろしいです。アドバイスをくれる人の言う事を、よく聞いていれば、もっと良かっただろうに・・・。後の祭り状態です。

そんな不幸のどん底で、彼らが最後に見つけたものは何だったのか。これは、家族再生の物語なんです。大きな夢を見るのも良いけど、本当の幸せって、近くにあるものなんですよね。「青い鳥」です。それに気が付けるか気が付けないかで、その後の人生の満足度は、180度違うのではないでしょうか。多くを望むのも良いですが、ちょっとした事でも、しあわせを感じられるって、本当に裕福なのではないかと思います。高級料理より、コロッケ一つの方が、美味しいって思う事ってありますよね。そんな感じです。

この映画、とても心が温かくなる映画でした。確かに、最初の方の無謀な彼らの行動には腹が立ちますが、それだけ酷い状態になるからこそ、しあわせをかみ締められるということもあったのかもしれません。とても解りやすくて、みんなが最後にホッとする映画なので、ぜひ、日本で上映して欲しいな。どうなるのかなぁ。
第24回東京国際映画祭 http://2011.tiff-jp.net/ja/