東京国際映画祭、ワールドシネマ部門「地球の最後の男」を観ました。
ストーリーは、
イタリア。地球に上陸したいとコンタクトをしてきた宇宙人が、あと数日でやってくるというとき。怖がる人、大多数のあきらめている人、ほんの一握りの楽しみにしている人。だがその中には、人生を“宇宙人”として過ごしてきた人たちもいた。彼らは、周囲とうまくコミュニケーションがとれず、自分たちも別次元の世界から地球にやってきたのではないかと悩んでいた。ルカもそのタイプの男で、人間関係の構築や、周りの人を理解することに苦労していたが、そんな彼に思いやりを示し、自分の生活にひきこんでくれる近所の女性に出会う。というお話です。

いや、この映画、笑ったなぁ。だって、ベタな宇宙人が出てきて、それも、着ぐるみって直ぐにわかるんです。それなのに、宇宙人だって大騒ぎだし、変な宗教めいた宇宙教みたいなのをやってみたり、ハチャメチャなんです。映画祭ながら、超B級、いやD級と読んで良いのではないかと思うような作品ですが、なんだか目が離せない作品なんですよ。

何故か、自分だけいつも浮いてしまい、同じ人間とは思えないような日々を送っている男ルカは、一見、珍しい人間のようですが、周りを見回してみると、結構居るんじゃないですかね。子供の頃から、人と同じにすることが良いと教育されてきたのですが、同じ訳ないですよ。それぞれ能力も違うし、向いているものも違うのに、同じように生きろって言われても無理ですよね。上手く同調出来なければ、結局、自分に負担がかかってきて、精神的に苦しくなってくる。そして・・・。

宇宙人がコンタクトしてきて、人間との交流を持つのですが、なんだか、そんなんで良いのっていう交流をしていて、面白いんです。宇宙人を恐がったりして、騒いでいる人のところではなく、素朴な人の所に下りてきて、こっそり交流を始めているんです。それが、面白いんですよ。どんどん色々な事を覚えて行くと、何故か、段々と、宇宙人の格好をしているんだけど、人間に見えてくるんですよ。目も真っ黒なんだけど、表情があるように見えてくるの。不思議ですよね。

主人公はルカですが、ルカのお父さんや、近所の住民、会社の同僚、ルカのカマ友達を描きながら、宇宙人が来るって騒いでいる人間と、宇宙人より不思議な男ルカを追って、人間の惨酷さや他人への興味の無さを、痛烈に皮肉っています。B級といいながらも、結構、楽しめる作品だと思います。
これ、日本公開、難しいかなぁ。単館系で、もしかしてってこともあるかも知れないけど・・・。イタリアのお笑いSF宇宙人ドラマなので、もし、観る機会があれば、楽しんでください。
P.S 猫好きには、たまらない猫との戯れ場面があります。観ながら、”にゃにゃ~!!”って騒いでしまいそうになりますよ。
第24回東京国際映画祭 http://2011.tiff-jp.net/ja/