【TIFF】「ホーム」 変わり行くふるさとを、何も出来ずに見つめるだけという悲しさ。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

東京国際映画祭、コンペティション部門「ホーム」を観ました。


ストーリーは、

悲観的で神経質な建築家のドーアンはイスタンブール近郊で友人とキャンプをしているときに病気になる。故郷をなつかしく思っていた彼は、主治医に旅を勧められ、短い休暇をとり子供の頃を過ごした町に久しぶりに出かける。だが、郊外に行っても、地球に有害な最新科学技術の時代と自由主義がもたらした均質化の網からは逃れられない。彼は、かつては不変だと思えた物や、静かだった場所を探すが何も見つけられない。
というお話です。


ゆきがめのシネマ、試写と劇場に行こっ!!-ホーム1

この作品は、コンペティションとして招待されましたが、ナチュラルTIFFの方が良かったのではないかと思いました。自然が色々な事によって壊されてしまい、もう、昔の姿には戻らないという悲しい現実と、それによって、人間も壊れていってしまうのかもしれないという危機感と、色々感じる事が出来ました。


この映画で描かれているトルコの田舎の町は、監督の故郷であり、本当に美しい自然があった地域だそうですが、今は、クルド人のテロリストが入ってきたり、開発が進んだり、金の鉱脈が見つかったり、色々な要因で、どんどん自然が壊され、そこに住んでいる人間達の意識も麻痺してしまって、変わっていく村を止める術は無いんです。


ゆきがめのシネマ、試写と劇場に行こっ!!-ホーム4

人間とは欲望に弱く、その欲望の為には、どんどん今までの古い物を捨ててしまいます。その欲望は留まるところを知らず、このまま進めば自分達の首を絞めてしまうことになるということをまったく認識していません。どうして便利を求めるのか。どうして利益を求めるのか。そんな事を訴えている映画で、色々な事に無関心だった自分が悲しくなりました。


ゆきがめのシネマ、試写と劇場に行こっ!!-ホーム2

主人公のドアンは、自分の故郷に戻って、酷い状態を見て愕然とします。そこまで酷くなっているとは思っていなかったからです。村の周りなどを回り、自然が残っているところを探します。そして、村人との交流の中で、自然が破壊されてしまった色々な要因を聞くことになるんです。自分は、その村に住んでいたのに、よそ者と見られて、身分証明書の提示を求められたり、嫌な思いもします。


もう何も残っていないと悲しんでいると、自分の好きだった花を見つけます。そこに小さな希望を見るのですが、でも、やっぱり壊れて行くものは止められません。悲しい現実を見せられます。


ゆきがめのシネマ、試写と劇場に行こっ!!-ホーム2

私も建築をやっていて、利益を上げる為に、周りのことを考えずに計画を建てることが多々あります。法律に合致していれば、何をやっても良いだろうという認識が業界に蔓延っていて、それを止める術がありません。キレイ事を言っていても、必ず最後に利益が上がるか上がらないかの計算に行き着きます。自然を壊すことになると解っていても、やってしまう。悲しいことですが、私がやらなくても、誰かがやるのだと思ってやっています。一時よりは、自然に気を使うようにはなりましたが、すべての人間が、自然を元に戻したいという気持ちにならない限り、今の地球の汚染、自然破壊は止まりません。悲しいことです。


ゆきがめのシネマ、試写と劇場に行こっ!!-ホーム5

この映画は、ストーリーを追う映画というより、訴えていることを読み取る映画なので、出来れば、ナチュラルTIFFとして、上映して欲しかったな。その方が、見る人の心構えが違って、受け入れやすかったと思います。

日本公開は、どうかな~って感じですが、環境保護としての映画と思って上映してくれるところがあるかもしれません。もし、観ることがあったら、体験してみてくださいね。カメ




第24回東京国際映画祭    http://2011.tiff-jp.net/ja/



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