【TIFF】「J.A.C.E/ジェイス」 ギリシャの社会的問題にメスを入れた力強い作品 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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東京国際映画祭、コンペティション部門「J.A.C.E/ジェイス」を観ました。


ストーリーは、

ギリシャ系アルバニア人の子供ジェイスは、里親家族が虐殺される現場を目撃する。そして、物乞いから臓器売買まで様々な目的で子供たちを海外に“輸出する”残酷なギャングに捕らえられる。その後、アテネに辿りつき、暴力で殺されるのが運命だと思わざるをえないような世界で、通りの隅で物乞いをしたり、少年院で恐怖を味わったり、裏世界のパトロンに仕えたりする。この映画は虐待、殺人そして恐怖が蔓延する暗黒の世界で、必死に“家族”と自分の居場所を探し求めるジェイスの生き様を追う。
というお話です。

ゆきがめのシネマ、試写と劇場に行こっ!!-ジョイス3

今、大変なことになっているギリシャの映画です。ギリシャという国は、バルカン半島に位置し、ギリシャ人は、アルバニアとギリシャにまたがって生きていて、その2国の国境も定まっていない状態なのだそうです。そんな国では、子供を誘拐して、人身売買や臓器提供、売春などをさせる犯罪が多発していて、不幸になる子供がたくさんいるというところから、この映画は作られています。


ジョイスと呼ばれる男が、どうしてそんな犯罪に手を染めるようになったのか。そして、本当にジョイスは、犯罪を犯した犯人なのか。彼の子供の頃からの記憶を辿って、彼がどんな生き方をしてきたのか、段々と分かってきます。それは、壮絶な人生で、酷いとしか言いようの無いものでした。産まれて直ぐに、母親は殺され、7歳になると、今度は、家族が全員殺され、自分は誘拐され、売られてしまいます。良いお家に買ってもらえたと思ったら・・・。もー、本当に、涙も出ないほど、可哀想で悔しくて、だれも助けて上げられないことが、こんなに悲しいなんてって思いました。


ゆきがめのシネマ、試写と劇場に行こっ!!-ジョイス1

悲惨な人生を歩みながらも、精一杯生きて、成長していく彼は、その時々に、名前が変わります。彼は、家族が惨殺された時、父親と誓いを立てます。その誓いを守って、決して、喋ろうとはしないんです。一言も喋りません。なので、行く先々で、適当な名前が振られて、色々な名前で呼ばれます。ちなみに、ジョイスも、あるきっかけで付けられた名前です。


どこまでも、組織に追われて、好きな人とも結ばれず、守りたい人も守れず、コレでもかって言うほど、辛くて、悔しいのですが、何故か、彼はキレることなく、ガマンして生きて行くんです。普通なら、どんどんジャマな人を殺していくと思うんだけど、それをしないところが、彼が根本的に持っている本質の良さなのだと思います。そんな彼が、どんな人生を手に入れて、過ごしていくのか、ぜひ、楽しんでください。悲劇にならないことを祈りながら、ハラハラドキドキの2時間半です。映画としては長いけど、面白いです。


ゆきがめのシネマ、試写と劇場に行こっ!!-ジョイス2

この映画、日本公開は決まってませんが、公開してくれるといいな。単館系で、映画好きな人には、お奨めしたいと思います。 カメ




第24回東京国際映画祭    http://2011.tiff-jp.net/ja/



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