ラテンビート映画祭の「BLACK BREAD」を観てきました。
ストーリーは、
舞台はスペイン内戦後のカタロニア。11歳の少年アンドレウは、森の中で崖下に転落した馬車を見つけ駆け寄るが、父親の遺体のそばに倒れていた幼子は「ビトルリア」と、謎の言葉を残して息絶える。「ビトルリア」とは森の洞窟に住むと噂される幽霊の名前だ。警察は、事故は何者かに仕組まれた殺人と断定。アンドレウの父ファリオルに嫌疑がかかる。間もなくアンドレウは農村に住む祖母の元へ身を寄せ、父ファリオルは逃亡。父の無実を信じる純粋なアンドレウに、従妹のヌリアらは、大人社会の現実を話して聞かせる。フランコ政権による厳しい弾圧が行われていた冬の時代を一人の少年の目を通して描いたサスペンス。
というお話です。
スペインの内戦後のカタロニアのお話なのですが、そもそも、スペインの内戦を知らないから困るよね。1936年頃から、スペインで民主主義と共産主義の勢力がぶつかったそうで、第二次世界大戦の前哨戦のような感じだったそうです。で、映画の中でも出てくるのですが、アカ=共産主義の人間は、負けて迫害されたそうです。
この主人公の男の子アンドレウの父ファリオルは、共産派として戦ったようで、内戦が終った後も、アカの人間として、村人から良く思われていなかったようです。そんな時に、村で事件が起こり、嫌疑がかけられたり、村人の上下関係などなど、子供には理解不能なことがたくさん起きて、アンドレウは、段々と色々な事を理解し、成長していきます。
最初のアンドレウは、本当に無垢でかわいくて、子供子供しているんですよ。だけど、周りで色々な事が起きて、大人は秘密が多くなり、従弟達は、意地悪なことばかり言うんです。この出てくる従弟、すごい性格が悪いというか、悪意があるような感じで、アンドレウを汚そうとするんです。イヤな子供達だったなぁ。情勢が不安定だと、その中に暮らしている人々もおかしくなって、その影響で子供も素直な子が育たなくなるのかしら。どんなに状況が悪くても、子供は守ってあげて欲しいなぁ。
大人の事情に振り回されて、どんどん酷い現実を見せられ、子供はどういう決断をするのか。大人のした事は許せないし、納得も出来ないけど、でも、生きていかなければならない。子供なりに、すごい考えます。その決断は、彼を一気に大人にして、表情までも変えてしまいます。
本当に、出来れば、子供には汚いことを見せたくない。でも、現実は汚いものだし、自分達だって、段々と色々な事を受け入れていって大人になってきたんです。だけど、この映画と私達が違うのは、選択肢が多いということ。私達は、汚いことを見せられて理解していく中で、悪いものだから触らないとか、近づかないという選択が出来たのですが、この映画のアンドレウは、汚いこと、嫌な事を排除することが出来ない状況なんです。イヤでも何でも、それを受け入れない限り生きていけない状況って、酷いですよ。やっぱり平和じゃなきゃダメですよね。
この映画で、戦争によって、どれほど子供の心がすさんでしまうかということが、良く解ります。本当に、戦争は絶対にイヤですね。自分が生きるだけでも必死なのに、子供を充分に守ってやることなんて出来ないし、酷い状況を見せないようにすることなんて出来ないもん。かといって、攻めてきたら戦わない訳に行かないし、本当に困るよなぁ。政府のみなさん、マジでお願いしますよ。
主演のフランセスク・コロメール君が舞台挨拶をしてくれました。撮影した時は、12才くらいだったって言ってたかな。今は、13才になっていたと思います。しっかりした受け答えで、質問に答えていましたが、どう考えても13歳の少年に聞くことじゃないでしょってような質問をする方もいて、ズレてるなって思いました。映画祭で、たまに居ますよね。訳の解らない感想を長々言って、質問はピントを外れている人や、通訳が居るのに、習ったから自慢したいのか、外国語で質問する人。空気読もうよ。みんな呆れてますよ。日本での映画祭なんだから、日本語で話しましょう。日本で文化を広げる為のものなんですから。もう少し、頭の良い人が質問すればイイのに・・・。
話がそれましたが、フランセスクくんは、とってもかわいくて、すくすく育ってきたんだねって感じの男の子でした。映画の中では暗い雰囲気でしたが、実際は、とっても明るい子でした。これからが楽しみですね。
東京会場でのラテンビート映画祭は、この4本で終わり、横浜会場で、後の作品を観ようと思っています。10月の上旬に、またラテンビート映画祭の感想を書きますね。
「ラテンビート映画祭」 http://www.hispanicbeatfilmfestival.com/lbff2011/top.html
(9/19現在、サイトがダウンしているようです。)