フランス映画祭、11作目は、「消えたシモン・ヴェルネール」です。
ストーリーは、
舞台は1992年、パリ郊外の小さな街。パーティーに集まっていた若者たちが、茂みの中に死体が横たわっているのを発見する。その2週間前、シモン・ヴェルネールという名の高校生が失踪。教室からは血痕が発見され、捜査が開始されるが、それから数日もたたないうちに同じクラスの女生徒レティシアが失踪。シモンとレティシアの間には特別の関係はなく、彼女の両親にも心当たりがない。そしてその翌日、また別の生徒ジャン=バティスト(ラビエ)が消息を絶つ。果たして、事件の真相は……?
というお話です。
昨日まで、一緒に勉強していたクラスメートが、ある日、突然居なくなる。でも、休みかなとかサボリかなとか、それほど気にしない。そして1週間ほどたって、誰かが”あいつ来ないよな。”とか言い出したりして、ちょっと気になるけど、別に、そんなこともあると思って気にしない・・・。こんな光景、良くありますよね。クラスメートだ、友達だと騒いでいても、全然気にしていないんです。自分のことで精一杯。人のことなんて、考えてられない、そんな人間の薄情さと、命は地球よりも重いと言いながらも自分の携帯電話より軽いという現実があるということを、教えてくれます。
4人の主人公によって、居なくなったシモンの2週間の追跡が始まります。4人、それぞれに、シモンとの関わりがあって、あいつが殺したのかも、あいつが監禁しているのかも、と、周りにいる誰もが怪しく見えてきます。誰もが疑心暗鬼になり、クラスメートや教師、クラブの監督など、疑い始めます。そして、どんどん噂が広がって、何が本当で何がウソなのか、人間の裏側も見えてきて、面白いです。
話としては、とても良く出来ていると思いました。主人公一人一人、それぞれの個性があり、見ているものも全然違ったりしていて、その違いが面白いと思いました。例えば、シモンは、女生徒と付き合っていると信じている子がいると思えば、ホモで先生と付き合っていると思っている子がいたり、暗いから付き合ってはいないと思っている子もいたりして、本当に見る方向が違うと、その人間のイメージが全然違ってくるというのが良くわかって、とても面白いなぁって思いました。
この映画を見終わったとき、マザーグースの、「クックロビン」の歌が思い浮かびました。誰が殺したクックロビン、それは私とスズメが言った・・・。そうです、実際に殺した人が問題ではなく、彼を気にしなかった、彼を意識から葬った人たちの問題なんです。マザーグースの歌も、コマドリを埋葬する為に、たくさんの動物たちが手伝うんですけど、どうも表面だけのように聞こえるんですよね。この映画もそうです。悲しむんだけど、その場だけのような・・・。人間って、悲しい生き物ですね・・・。
この映画、日本公開してくれるかなぁ。青春映画としては、人間の描き方が面白くて、イケメンも多いので、良いと思うんだけど。このいくつかのサスペンスと、微妙な人間の心理は、全国公開という感じではないけど、結構、観た後に、ググッと効いてくるタイプなので、単館系でやって欲しいなぁ。面白いですよ。
主人公の一人を演じた、ジュール・ペリシエくんが超かわいくて、トークショーでも、もう、釘付けでした。トークショーでの様子は、また書きますが、とってもステキでした。
もし、公開されたら、ぜひ観て欲しいなぁ。かわいいペリシエくんを楽しんでくださいね。