今日は、「BIUTIFUL ビューティフル」 の試写会に行ってきました。
ストーリーは、
スペインのバルセロナに暮らす男・ウスバルは、妻・マランブラと別れ、男手一つで二人の子どもを育てていた。彼はアフリカ系や中国系の不法移民たちへの仕事の口利きや、警察への仲介などで収入を得ている。ある日、彼は病院で自分が末期ガンで、余命二ヶ月の宣告を受ける。しかし、そのことは誰にも告げず、子どもたちに少しでも金を残そうとしていた。マランブラとも再び同居を始め、彼は死の準備を整えようとするのだが…。
というお話です。
限られた時間を子供のために、ということなのですが、ゴンサレス監督が作ると、どうしても砂地のような雰囲気になるんですね。ちょっと渇いたような、ザラザラしたような、そんな感じ・・・。スムーズにしあわせになんてなれないんです。辛いなぁ・・・。観ていて、どうしてこれほど不幸なんだろうって思ってしまいました。これは、もう、負のスパイラルに絡められて、抜け出せない状態です。
命が短いとわかる前から、汚い仕事でお金を稼いでいて、あと少ししか時間が無いって解ったら、もっと汚い仕事で稼ごうとするところが、負のスパイラルを自分に引き付けてしまうんです。人間は弱いから、簡単にお金が入る仕事があると、悪いも良いも関係なくやってしまうところが、浅はかなんですよね。簡単であれば、必ずリスクがあって、楽した分、後から自分に帰ってくるって解ってない。このウスバルもそうです。どんどん泥沼にはまっていって、悪い方向へ向かってしまう。どこかで、自分の意思でスパイラルを打破しないとダメだって解っていても出来ないところが、人間という生き物のサガなのかもしれませんね。
スペインって、不法滞在者が山ほどいるんですね、驚きました。これほどメチャクチャな国とは知りませんでした。アフリカ系の人間や、中国人が、スペインの裏社会で働いていて、警察も買収したりしているんです。酷い・・・。こんなにたくさんの不法滞在がいたのでは、本当のスペイン人の仕事が減って、経済が悪くなるのは当たり前です。ウスバルの友達の警察官が「その内、奴らにすべて奪われることになる」みたいな事を言うのですが、これは、結構、シビアな問題だと思いました。ことわざで、「庇を貸して母屋を取られる」というのがありますが、仏心を出して助けてあげると、どんどん付け上がって、全てを奪いかねないということです。これ、スペインだけの問題ではないですよ。日本でも、今、中国人が不動産を買いあさっていて、いつ乗っ取られてしまうのか解りません。派遣社員が切られるのも、中国や韓国の労働者が安い時給で働いてしまうからです。誰もが国の事を思い、利益追求だけを追うのを辞めないと、日本も負のスパイラルから抜けられないです。
それにしても、この主人公の周りは、酷い状況でした。これでもかっていうほど、不幸が襲ってきていたなぁ。誰かが救いになるのかと思いきや、子供も親の不幸に引き摺られていたし、かわいそうだったなぁ。母親の精神が病んでいて、キスしていたかと思うと、突然虐待したり、酷いんです。ウスバルは、自分の妻のそんな姿を見て、悲しみにくれます。そりゃ、そうですよね。愛していた人が、母親の顔を見せたと思ったら、いきなり売春婦のような行動をしたり、自分が壊れてしまいたくなると思います。それに振り回される子供も、とても不幸です。
この映画を観て、とても疲れました。暗くなりました。悲しくなりました・・・。どうして人間って、こんなに弱いんだろう。どうして、誰もが自分の事しか考えられないんだろうって・・・。辛い映画でした。
単館系の映画がタイプの方には、お薦めしたいと思います。不幸で暗い映画ですが、心の動き方などの描き方がとても上手いです。頑張っても頑張っても、幸せになれない、もがく人間の姿が、とても生々しくて、観ているこちらの心に、ドンッと重く圧し掛かってきます。映画好きな方には、一度、観てみて欲しい作品だと思いました。6/25公開なので、ぜひ、ご覧になってみてくださいね。
・BIUTIFUL ビューティフル@ぴあ映画生活
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