イタリア映画祭、4作目は、「ラ・パッショーネ」を観ました。
ストーリーは、
スランプで5年も新作が出せない映画監督のジャンニ。映画製作の話はあるのに、プロットが浮かばない。追い討ちをかけるように、トスカーナの田舎町に持っている賃貸アパートの水漏れで、隣の教会の有名な壁画に損傷を与えてしまう。文化財損傷の罪を訴えられたくなかったら、その田舎町の祭で行なわれる受難劇の監督を引き受けろと言われ、仕方なく引き受けることになる。そして・・・。
というお話です。

スランプに陥ると、もう、どうしようもなくて、なーんにも頭に浮かばなくなるんですよね~。この監督ジャンニもそうなんですけど、製作会社の社長に攻められて、その時に自分の近くにある出来事を、そのままプロットとして話すんです。そんなの、まったく面白いワケないですよね。でも、どうしようもないんです。すごく笑えました。
ジャンニが田舎に持っているアパートなのですが、その地域の、条例で決められている設備への改装を、ケチってやらなかったんです。そうしたら、水道管はボロボロで水が漏れ出し、文化財はボロボロ。そりゃ、怒られるよね~。日本でも良くいるんですよね。建築基準法違反になっているから改築してくださいねって言っているのに、違反建築のままで、ガンコに住んでいる人・・・。他人に迷惑をかけないなら良いんだけど、人の家の日照が妨げられたり、越境していたり・・・。やっぱり言われたことは直そうよ。文化財とかに傷つけたら、取り返しが付かないよっ!!このジャンニは、結局、行政に強制侵入され、強制的に改装されます。いい気味じゃ!(笑)

この事件を隠蔽してもらう代わりに、街の祭で行なう受難劇の監督を無理やりやらされます。最初は、適当に拾った助手にやらせて、自分は映画のプロットを考えようとしているのですが、この拾った助手が、結構、使える奴で、おおっと思える働きをします。この助手の方が、監督っぽいじゃんみたいな・・・。笑えちゃったな。
ま、色々あるんですけど、受難劇をやっているのに、段々と現実の彼らの環境と重なってきて、素人劇なんだけど、とっても感動出来る劇になるんです。どう考えても失敗しそうなんだけど、神様のお導きなのか、良い方向に進みます。ジャンニも、バカにしていた素人劇に感動し、スッキリしたような、そんな顔を見せてくれます。

なんだか、これと言って、何が重要な話なのか、ちょっと解りづらいですが、受難劇のキリストの昇天を作り上げたことで、自分の今までの気持ちが昇天され、原点に戻って、またやり直せばいいやっていう気持ちが表れ、売れる映画を作らなきゃというストレスから開放され、カッコつけずに人間を見つめていけば、きっと、何かが見つかるさ、と思える映画でした。
主演のシルヴィオ・オルランドさんは、このイタリア映画祭で今までに上映された映画にたくさん出ている方です。とっても小さい、かわいいおじさんで、これからも、観て行きたい方です。

この映画は、日本公開あるかなぁ・・・。ちょっと難しいかな。でも、太った助手が、ジャック・ブラックみたいで、とても面白かったです。出来れば、単館系で上映して欲しいな。