「星守る犬」 現代社会の問題を深くえぐった作品でした。犬映画ではありません。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

今日は、モニター試写会で、「星守る犬」 を観て来ました。しっぽフリフリ


ストーリーは、

北海道の小さな町で、死後半年を経過したとみられる男性(西田敏行)と、死後ひと月の犬の遺体が見つかる。市役所の福祉課勤務の奥津(玉山鉄二)は、遺棄された車に残されていたリサイクルショップの買い取り証を発見。彼は仕事上仕方なく、50代とおぼしき身元不明の男性と犬がたどったと思われる道をさかのぼる旅に出ることになる。
というお話です。

ゆきがめのシネマ、試写と劇場に行こっ!!-星守る1

スニーク試写会だったので、行くまで、何の映画か知らなくて、行ってみたら、この映画でした。チラシを見る限りでは、犬とおじさんの、ほのぼのした映画かなって思っていたのですが・・・。

なんと、犬の映画とは全く違い、社会派ドラマストーリーでした。ビックリです。現代社会の問題を、じっくり深く描いています。皆さんも、イヌの可愛い映画だと思って観ると、ビックリすると思うなぁ。

身元不明の中年男と犬の遺体が見つかって、その身元を市役所の職員が捜し始めるんですけど、この市役所の奥津にも、個人的に色々な思いや、犬との思い出があり、ストーリーの中心は、この身元不明中年男性と市役所職員を軸に、中年男性に少しでも関わった人の人生、そして奥津(市役所職員)が途中で知り合う中学生の少女を描くことで、現代社会の問題点があらわになっていきます。

ゆきがめのシネマ、試写と劇場に行こっ!!-星守る3

話の途中で、その時期の新聞などが映って、小泉政権、鳩山政権と、どんどん日本が悪い方向に行っている状況を思い出させます。小泉政権の時に竹中が推奨した自由化のために、中小企業がバンバン潰れて、たくさんの人が仕事を失いました。アメリカ方式の競争社会が良いとした竹中の考え方は、人を欺いてまで儲けを出すという利益主義の人種には合っていたのかもしれないけど、日本人のように、気持ちを重んじて、利益だけを追求するのは美しくないとする人種にとって、致命的な政策だったと思います。結局、人との繋がりを全て断ち切って利益のみを追求する社会になり、人と人との繋がりが無くなってしまった暗くて寒い社会を、この映画は、身元不明の男性と犬を使って、描いているのです。

本当に、観終わって衝撃を受けました。だって、普通のお涙ちょうだいの犬映画だと思っていたんですもん。もちろん、社会を描いていますが、犬も重要な役割でしたよ。ネタバレは出来ないけど、途中で、奥津が、自分の買っていた犬が亡くなる時を思い出す場面があるんです。犬は老衰のようでしたが、ペットって、最後の最後まで、飼い主を慕って、少しでも立ち上がって喜ばせようとしてくれるんですよね。もう寝てなさいって言うのに、起き上がろうと頑張るんです。私も、自分のペットが死ぬ時の事を思い出してしまい、号泣してしまいました。どの子も、精一杯、飼い主を愛してるんですよ。だから、飼う方も、精一杯、愛を与えてあげたい。愛してあげたいと思える場面でした。

ゆきがめのシネマ、試写と劇場に行こっ!!-星守る4

人間は、一人では生きられない。人との関わりがあってこそ、この社会が成り立っているのだし、未来へ続いていくはずなのに、今の社会は、利益追求ばかりで、人に対しての愛が無くなっています。熟年離婚や子供への虐待、どの問題を取り上げても、そこに愛があれば、思いやりがあれば、解決出来そうな問題なのに・・・。人間との関わりが薄くなっているこの時代に、犬と二人で逃避行をしている中年男性を辿る旅は、どんどんと北へ向かい、ラストへ向かって盛り上がっていきます。

この原作、「泣けた本ランキング1位」だそうですが、解ります。すごい泣けました。コミックなんですね。読んでみたくなりました。そして、キャストが豪華で、それも泣ける原因かな。西田さん、上手いもん。玉山くんも、いつものイケメンバリバリではなく、大人しめの役所職員風にしていて、それがまた、イイんですよ。抑えた演技が良いです。良かったなぁ。


ゆきがめのシネマ、試写と劇場に行こっ!!-星守る3

この映画、6月に公開だそうですが、期待してください。とっても良い映画です。私は、とってもお薦めしたい映画の1本です。でも、ペットを飼ったことのある人は、自分の子が亡くなった事を思い出してしまうかもしれないので、覚悟して観に行ってくださいね。それと、アクションやサスペンスではないので、超盛り上がったり、ドキドキしたりという場面は無いので、そういう映画が好きな方は、止めた方が良いかも知れません。

静かに、今の社会問題を鋭く奥深くえぐった内容なので、新聞を読んだり、今の社会問題に興味のある方には、とてもお勧め出来る映画です。今一度、竹中の自由化推進がどれほど日本を壊してしまったのかを考えるべき時だと思います。カメ


ちなみに、星守る犬というのは、「犬がもの欲しそうに星を見続けている姿から、手に入らないものを求める人のことを指す」ことだそうです。手に入らないものを求めて、近くの幸せに気づかない、「青い鳥」のようですね。

星守る犬/村上 たかし

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