今日は、「アメイジング・グレイス」の試写会に行ってきました。
ストーリーは、
若くして政治家となったウィルバーフォース（ヨアン・グリフィズ）と、彼と同じ志を持つ友人のピット（ベネディクト・カンバーバッチ）。イギリスの主収入源である奴隷貿易に心を痛め、現状を打ち破るべく闘う2人だったが、想像以上の苦戦を強いられるウィルバーフォースを支えていたのは、師が作詞をした「アメイジング・グレイス」だった。
というお話です。
１８世紀のイギリスで行なわれていた、奴隷貿易を止めさせようと奮闘する政治家のお話です。なんたって、奴隷貿易を止めさせるのに、すごい時間が掛かるので、私、最初の方で、ウトウトしてしまいました。だって、ずーっと討論しても上手く行かず、進まないんだもん。でも、諦めずに、何度も何度も、止めさせようと論争するところが、凄いパワーがあるなぁって思いました。これほどのパワー、今の政治家たちに見せてやりたいっ！！
この作品、１８世紀のヨーロッパの情勢を解ってから見た方が、より楽しめるのではないかと思いました。奴隷貿易廃止の法案を何度も出すのですが、その時期に、フランス革命が起こって、その革命がイギリスまで波及するのではないかと恐れて、奴隷を自由にすることに人民が躊躇するという場面があるんです。このフランス革命は、あの有名な「ベルサイユのバラ」のマリーアントワネットの処刑に繋がった革命です。フランスでは、人民があまりにも貧困で革命が起きている時に、イギリスでは、植民地の奴隷が可愛そうだと言って、自由にしてあげようという議論が交わされているという、なんともチグハグな感じだなぁと思いました。同じ人種が戦っている傍ら、関係ない人種のことを考えてあげているという、なんだか、どっちが進化しているんだか解らないような状態が不思議に思えましたね。
この時代、イギリス東インド会社が茶の独占をしたり、産業革命が起こったりして、目覚しく発展していた時期で、景気も良かったからこそ、奴隷たちの人権を考え始めたんじゃないかと思います。自分達が裕福で余裕が無いと、人のことなんて、考えてあげられないもんね。で、この時代の後、ナポレオンが出てきたりして、戦争に突入するんだと思うんだけど・・・。そういうことが解ってから、この映画を観ると、ちょっと面白いかも。
ウィリアム・ウィルバーフォースという政治家が、頑張って、法案を通そうとするんですけど、なんだか、真面目すぎて、もっと頭使えよ～って感じでした。政治家なら、もっと頭を使って、裏をかいたり、先手を打ったりしないと、必ず潰されるのに、猪突猛進なんだもん。政治家は、真面目だけじゃ勤まらないよ～！！
そんな彼を、少し柔らかくしてくれるのが、結婚でした。結婚して、子供をもうけることにより、大切なものも守らなきゃいけないし、無茶するだけじゃダメだというのが判って、大人の考え方に変わって行きます。そんな変化が良いなぁって思いました。やっぱり、家族が出来ると、人間、柔らかくなるよね。人間の幅も広がります。結婚という形式に囚われなくても良いけど、一緒に楽しめる人が近くに居るというのは、人間に余裕を与えてくれますよね。
アメイジング・グレイスという曲は、作曲者が不明だそうですが、とても良い曲ですね。映画の中でも、重要な場面で使われます。賛美歌として使われるんだけど、これ、賛美歌だったかなぁ。覚えてないんですけど・・・。本田美奈子さんの歌うこの曲がとても有名で知っているけど、それまでは、あまり気にしたことが無かったなぁ。
アクションでもサスペンスでも無く、政治の行く末を描いているので、大人しい映画です。ですから、単館系の映画が好きな方や、歴史に興味のある方には、お薦めしたいと思います。特に、ヨーロッパ史に強い方には、良いのではないかなぁ。行く前に、ヨーロッパの歴史を勉強して行って観ると、この時にフランス革命かなとか、パイレーツ・オブ・カリビアンの時期かなとか、ナポレオンがもう出てくる時期かなとか、色々判るので、面白いと思いますよ。
・アメイジング・グレイス＠ぴあ映画生活
アメイジング・グレイス - goo 映画
「アメイジング・グレイス」の映画詳細、映画館情報はこちら >>
商品・サービスの詳細はこちら