東京フィルメックス、6作目鑑賞は、「愛が訪れる時」です。
ストーリーは、
レストランを経営する家族の一員である少女ライチュンには二人の母がいる。ライチュンの父は、経営者の娘と結婚して店を次いだが、妻に子供が出来ない為、妻の同意のもとに従業員の女性ツーホァを2番目の妻に向かえ、ライチュンと妹が生まれた。今もレストランで働いているツーホァは、仕事中に産気づき、男の子を産む。跡継ぎの誕生に喜ぶ家族だが、ライチュンは冷ややかだ。彼女は、母が高齢出産の危険を冒してまで男の子を産もうとしたことが理解出来ない。そんな時、ライチュンは自分自身が妊娠していることを知る。だが、 ボーイフレンドは消息を絶ち、電話にも出ようとしない。ライチュンは子供を産むかどうかの選択に迫られる。
というお話です。
この作品、先日、台湾のアカデミー賞のような賞を頂いたそうです。すごいでしょ。監督は、前回のフィルメックスで「お父さん、元気?」が上映された、チャン・ツォーチ監督です。私、この映画も観たのですが、とっても良かった覚えがあります。
今回は、レストラン経営をしている家族7人と産まれてくる子供の普段の生活を追いながら、色々な苦難があったり、一緒にいるのに解り合えなかったり、笑いがあったりと、活き活きとした生活を描いています。この監督の作品は、いつも、とても人間が生々しく描かれていて、普段の生活の中で起きる出来事をそのまま映像に収めているように見えて、なんだか、とても暖かい感じを受けるんです。
現代の台湾でも日本と同じで、若いライチュンは、何も考えずに、恋人と避妊もせずに行為に及んでしまい妊娠してしまいます。どうして、そういう危険があると考えないのかな?堕ろせばいいと簡単に思っているのかしら。はっきり言って、私も人の事を批判出来る様な生き方をしてきていないのですが、子供を育てられる環境を作れないのに危険な賭けはしませんでしたよ。収入も無いのに、どうして避妊しないかなぁ。ま、環境を整えてみたら子供が出来ないって事も往々にあるけどね。(笑)
二人の母親が同じ家で暮らしているような複雑な家庭なのにそれなりに娘も育っているし、一人の男を共有しているのに二人とも割り切って助け合っているという、家族というものが、すべてを超越して成り立っているという事を描いていて、素晴らしいと思いました。そして、一人ひとりの心の描き方が繊細で、とってもステキです。
自閉症のおじさん役をやっている方が、すごく上手くて、本当に自閉症なのかと思ってしまうほどでした。娘役の二人は、16歳と17歳の時に撮影したそうで、とっても輝いていて、可愛いです。これからが楽しみですね。
これ、日本公開されるかなぁ。もし公開されたら、ぜひ観に行ってみてください。観た後に、とっても暖かい気持ちになる映画です。派手な展開はありませんが、なんだか、イイんです。公開されるといいなぁ。