東京フィルメックスが始まり、行ってきました。今日は、1本目、「ミスター・ノーバディ」です。
ストーリーは、
人類が不死を達成した2092年。世界最高齢にして不死でない最後の人間である120歳の老人ニモが、死を目前にして病院のベッドに横たわっている。ニモの脳裏には、これまでの人生がフラッシュバックする。たくさんの思い出があるのだが、どれが本当の自分なのか解らない。ある時は幼馴染のブロンド女性と結婚して不幸な生活を、ある時は母の再婚相手の娘と恋をして永遠に探し続ける、ある時は、アジア系の女性と結婚してプール付の豪邸で暮らしている。どれも自分の経験なのだが、確信がない。本当の自分を見つけることは出来るのか。
というお話です。
私、こういう作品を待っていました。時間と空間がマス目上にあって、全てのマスに選択した自分が居るのだと、全ての可能性を、全ての”もし”を、自分が歩いているのだという考え方を映像にした、素晴らしい作品です。SF好きには、たまらないストーリーです。
宇宙の原点、ビッグバンが起きて、宇宙が膨張しているから時間と空間が産まれ、人間の生活がある。しかし膨張が止まり、収縮が始まったら、はたして、時間と空間は、逆回転していくのか。そして、人間はどうなるのか。そんな基本から始まるストーリーです。でも、難しい事はありません。話の構成が、とっても解かり易く作られているので、頭がこんがらがる事もなく、楽しめますよ。
ある場面で、9歳の主人公ニモが、両親の離婚にあたって父親か母親どちらかを選びなさいと言われ、選択を迫られるのですが、子供に決めさせるって、やっぱり酷いですよ。もちろん、子供が既に決めている場合は良いと思うけど、父母どちらも好きなのに、どちらか一方に決めろというのは、子供の心を引き裂く事だと思います。決められないよねぇ。パパもママも好きなのに。大人の都合でそうなるなら、子供に、母親と暮らして父親とも会えるからとか、きちんと決めてあげないと、辛い選択を強いられたら壊れちゃいます。子供の心は繊細なんです。だからこそ、子供のインナースペースには、すごい力があるんです。このインナースペースが映画の鍵になるので、忘れないで下さいね。
誰にでも、選択が必要なときが何度もありますが、どの選択をしても間違えは無いし、もう一つの選択は、もう一人の自分がやってくれているので、安心して今を生きるのがステキですよね。そんな考えも与えてくれる映画でした。
主演がジャレット・レト、他ダイアン・クルーガー、サラ・ポーリーなど、大物が出演していて、安定した演技で、感動を与えてくれます。9歳のニモ、15歳のニモ、大人のニモと、3代のニモが出てきて、どのニモもステキで、愛らしかったですよ。
監督は、ジャコ・ヴァン・ドルマルさん。恰幅の良い、かわいらしいオジ様でした。優しそうなの。「トト・ザ・ヒーロー」「八日目」の監督です。
この映画、来年(3月頃って言ってたかな?)公開なので、ぜひ、観に行ってくださいね。私は、超お奨めです。
もちろん、俳優も凄いけど、ストーリーがSF好きには、涙モノです。でも、SFとかをあまり理解出来ないというか、理解するのが面倒だという方には、ちょっと向かないかも。「ホーキング宇宙を語る」などを読んで、面白いなぁと思える方には、ハマります。来年を、お楽しみに。
監督さんと通訳さんです。監督、かわいいでしょ。
・ミスター・ノーバディ@ぴあ映画生活