今日は、「僕と妻の1778の物語り」の完成披露試写会に行ってきました。
ストーリーは、
SF作家の朔太郎(草なぎ剛)と銀行員の妻節子(竹内結子)は、高校1年の夏休みに付き合い始めてからずっと一緒だった。だがある日、腹痛を訴えた節子が病院に入院し、彼女の体が大腸ガンに冒されていることが判明。医師(大杉漣)に余命1年と宣告された朔太郎は最愛の妻にだけ向けて、毎日原稿用紙3枚以上の短編小説を書くことにする。
というお話です。
「僕の生きる道」シリーズの映画化だそうですが、TVドラマを観ていなかったので比べられないけど、凄く良い映画でした。きっと、TVドラマも感動的だったのかな?映画もそうです。但し、映画は、眉村さん(「ねらわれた学園」などの原作者)の実話に基づいていて、完成披露に原作者の眉村さんもいらっしゃっていました。
ガンに侵された妻をどうやって見送るかというお話なのですが、この映画は、普通の見送るだけの映画ではなくて、見送る側からの視点の映画なのに、見送られる側(患者側)からの視点がとても良く描かれていて、驚きました。本当に好きな人が、もし逝ってしまう事を告げられたら、どうやって見送るのか、自分が死ぬと告げられたら残していく愛する人をどうやって慰めるのか、ということをえがいたもので、普通のお涙頂戴ものとは違う映画でした。
題名にも書いたように、ネタバレになるかも知れませんが、普通の映画とは違い、送られる側が、送る側をどれほど愛しているのかという事を描いています。私は、ガンだということを告げられた時点から、なんだか、主人公と妻が一緒に宮沢賢治の銀河鉄道に乗って、電車に乗りながらお話を語っていくように見えました。そして、映像も、現実を現実として描いているのではなく、とても綺麗に、幻想的に描いているので、まるで、宇宙を鉄道で走っているような、そんな雰囲気にさせてくれるような、そんな気持ちを与えてくれます。
途中で、シュールな宇宙人や訳の解らない、主人公の空想部分が出てきて、超笑えます。この妻は、ちゃんと話題についていっているんですよね。私も、この主人公タイプなので、こんな奥さんが居たら、幸せだろうなあってすごく思いました。ま、我が家の主人は、火星人って、柔らかく無いはずだよねっえ相談したら、寒そうだから毛皮持ちだろうねぇって返す人ですが・・・。
愛する人が亡くなってしまうと告げられたら、いったい何が出来るのか。生きていく者は、とても悩むと思います。出来るだけの事はするとしても、痛みを取るとかは出来ても、何が出来うのか悩みますよね。そして、彼は、毎日笑わせるために短編小説を書くことにするのです。そうです。私達が、毎日、ブログと書くように、毎日、人に読んで貰えるような小説を書くのです。これって、凄い事ですよね。
映画は、涙を誘うものとして制作に入ったのかも知れませんが眉村さん(SF小説家)にとっては、現実に起こったことだし、それはそれは、随分悩まれたことだと思います。映画の中ほどで、奥様がガンだという記事が週刊誌に載った時に、すごく怒る場面があるのですが、とても理解出来ました。自分の大切な人を、一目にさらす様な事はイヤだと思ったのだと思います。
私は、何度か、涙が出ました。妻の節子が、自分の母親に、ガンになってしまって、自分の夫と一緒に年を取る事が出来ないと嘆く場面には、とても涙が出ました。女性って、辛いとき、まず母親に打ち明けるんですよね。きっと主人は、その辛い出来事に正面から向き合う事が難しいので、まず、母親に相談するんです。女って、そういうものなんですよ。そんな細かい女性の心理も、キチンと描かれていました。
私は、お奨めしたい映画の1本です。但し、20代後半から年配の方まで、結婚というものや、男女の関係などの深いところが理解出来ているかたが観た方が、より、この深い感動の動きが解ると思います。
大切な人には、いつまでも一緒にいて欲しいけど、人間は不死ではないので、受け入れる必要があるのだということを解って欲しいと思いました。そして、送られて居なくなる方も、凄く気を使って、生きている人の事を考えているのだという事を理解することが必要だと思いました。
草薙くんと竹内さんと星監督さんの舞台挨拶が映画の上映後にあり、草薙さんも竹内さんも、演じているのではなく、服装など、その役になりきって演じていたので、本物に近い状態で撮影が出来たと監督さんがおっしゃっていましたよ。とてもステキな映画でした。私は、お奨めします。
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