先日、「ブラック・スワン」の試写会に行ってきました。
公開がまだ先なので、感想を書いてもいいのかな~と思いながらも、書いてしまいます。
ストーリーは、
ニューヨーク・シティ・バレエ団のバレリーナで、踊ることに全てを捧げるニナ(ナタリー・ポートマン)。ある日、芸術監督のトーマス・リーロイ(ヴァンサン・カッセル)がプリマ・バレリーナのベス(ウィノナ・ライダー)を新シーズンの「白鳥の湖」から降板させることを決める。このとき、ニナは後任のプリマの第一候補だったが、新人ダンサーのリリー(ミラ・クニス)もまた有力な候補の一人だった。人の若きバレリーナは敵対心から、ねじれた友情を発展させていくのだが…。
というお話です。
この映画、すっごく良かったです。私は、こういうサスペンス映画、大好きです。ストーリーも何もかも、計算され尽くしたように、良く出来ているんです。でも、もちろん、完璧ではないですけど・・・。
主人公は、素晴らしい才能を持ったバレーリーナなんですけど、感情を表現するのが上手くなくて、とても苦しむんです。舞台の主人公に抜擢され、すごいプレッシャーを受けながらも、努力するという話なのですが、この仕事でのプレッシャーって、誰もが感じていることですよね。もちろん、大小はあるでしょうけど、でも、新人ではなく、ある程度、仕事が出来るようになってきて、仕事を任されるようになってくると襲ってくるプレッシャー。特に、20代後半から40代くらいまでかな、その頃って、認められようと頑張って、無理してやってしまうということがありませんか?そのプレッシャーに押しつぶされてしまわないように、自分自身をコントロールして、なんとか収めていくのだと思いますが、若いが故に、完璧を望んでしまうこともあると思います。

彼女も、完璧を目指すが故に、段々と色々なものが襲ってきて、周りも騒がしくなってしまう。そして、どんどん自分が追い詰められていくのです。本当に、この映画の内容は、バレエというものではなく、普段の社会生活で、誰もが体験していることではないかと思います。私は、観ていて、すごく心に突き刺さりました。仕事を続けていく為には、完璧を目指すのではなく、いつも合格点と落第点のギリギリのところで、合格する側に落ち着けるように、自分を設定していくのが、続けていくコツではないかと思います。

私が、建築士の試験を受ける時、筆記も実技試験も共に、合格点なら良いのだから、満点は目指すなといつも先生に言われていました。この世に完璧などは無いのだから、とにかく合格すれば良いのです。完璧など、くそ食らえっ!!
でも、この映画を観ていると、主人公と段々同化していくので、すごく息苦しくなっていきます。前門の虎後門の狼状態で、にっちもさっちも行かなくなるんです。ナタリー・ポートマンは、そんな主人公を素晴らしく演じています。美しく完璧な女性を演じようとしている主人公は、本当は、弱く、世間知らずなお嬢様なんです。そんな難しい役をそれこそ完璧と言っていいほどに演じています。バレエの演出家役のヴァンサン・カッセルは、ステキなオジ様で、この役、とっても合っていました。

いつ公開なのか、まだ解りませんが、期待して良い作品です。まだ、チラシも出来ていないようで、どうなのかなぁ。出来たら、春には、観たいなぁ。この映画を観たら、5月病でノイローゼになる人も少なくなるんじゃないかしら。だって、完璧を目指したら、破滅するって判るもん。

いやぁ・・・本当にすごい映画でした。出来たら、幅広い年代の人に観てもらいたいですね。ぜひぜひ、お奨めしたい映画です。