7日目の3作目は、「聖トニの誘惑」 を観ました。
ストーリーは、
勝ち組ビジネスマンのトニの生活は、沼地で手首を拾った日を境に徐々に崩れていく…。不条理な出来事の連続を、シュールで美しいモノクロ画面と強烈なブラック・ユーモアの味付けで描く、サンダンスとロッテルダム映画祭話題作。
という作品です。

エストニア出身の監督作品で、1作目が数多くの国際映画祭で受賞をして、一躍有名になった監督だそうです。映画は、多くの引用を用いていて、玄人向きのように思えました。映画の引用ではなく、芸術、音楽、戯曲など、多方面に渡っていて、簡単には理解出来ないような内容です。
でも、ブラックユーモアが凄いので、結構、解からないながらも笑えました。映画を観ている時は面白くて笑っていたのですが、後から考えてみると、ゾーッとするような内容だったりしました。
沼地で手首を拾って、その後、黒い犬を車で轢くんです。でも、その黒い犬、復活して、また出てくるの。黒い犬って、”クジョー”とかでもあるように、悪魔の化身だと思うんですよね。同じように、キリストやブッダが悪魔に何度も誘惑されたように、この主人公トニも、誘惑されるんです。トニは、社会で暮らすにしては、気持ちが綺麗すぎて、それが”聖トニ”ということになっているんです。心の綺麗なトニを、なんとか堕落させようと、たくさんの悪魔=俗世の人間が誘惑をします。その誘惑が、結構、笑えるんですよね~。
映像は、モノクロで撮られていて、美しくて冷たい感じが、このトニの暮らしている世界を、とても良く現しています。モノクロなのに、なんとなく色が見えてくるところが、凄いです。
この作品、サンダンスなどで、驚きを持って迎えられているそうですが、ちょっと難しいかな。宗教色が強いのと、まっすぐ伝わってくる訳ではないので、結構、理解出来ない人が出てくる可能性が大きいと思います。
万人受けはしないと思いますが、聖書などの悪魔との戦いをある程度理解していれば、ブラックユーモアが笑えると思いますよ。モノクロ映像が美しいので、そういうのが好きな方も、良いと思います。