4日目の1作目は、「サラの鍵」(コンペティション)を観ました。
ストーリーは、
タチアナ・ド・ロネの同名ベストセラー小説の映画化で、人生を変えるほどの大きな決断に迫られるアメリカ人ジャーナリストの物語である。ジュリアは、1942年フランスのヴェルディヴで起きたユダヤ人迫害事件を取材するうちに、恐ろしい秘密と、今はジュリアが住んでいる家でかつて起こったユダヤ人家族の悲劇を知ってしまう。そして、家族の長女・サラの視点で見ていくうちに、彼女の人生は引っくり返ってしまう。果たして、暗い過去を忘れることはできるのか?
というお話です。

今のところ、コンペティションの中では、一番のお気に入りです。素晴らしいです。原作がベストセラーだからなのかも知れませんが、ストーリーもしっかりしているし、映像も美しいし、演じている方々も、素晴らしかったです。
アメリカ人のジャーナリストの目から見る、フランスで起きたホロコーストの物語です。フランスは、あまり今も直視したくない問題のようで、映画化がほとんどされていません。
サラという、ユダヤ人の女の子がたどった、哀しみの人生を追っていくと、自分がこれから住もうとしているアパートに突き当たるんです。そのアパートで何があったのか、そして、そのアパートを手に入れた、夫の祖父母の行動など、色々出てくるのですが、いまさら触れられたくない過去なので、家族の葛藤があります。

ジュリアは、もう一つ、問題を抱えています。最初に出てくるので、ネタバレにはならないと思いますが、彼女の妊娠が判ります。でも、彼女は高年齢で、夫も高齢なので、今さら子供を育てるのは辛いから子供を降ろして欲しいと夫から言われ、彼女は非常に悩むんです。その年齢で産んで、子供が成人する時にはお婆ちゃんになってしまうと解かっていても、でも、そんなに簡単な事ではないですよね。たくさんのリスクがあるのも、年齢が高いから知識も増えているので、よく解かっている。それでも・・・。

ホロコーストで運命を翻弄されたサラという女性の生と、これから生まれてくるはずの子供の生、生きるという事の意味を歴史をなぞる事と、これから先の未来を見るという事で、描いていきます。これ、本当に原作、読みたいです。面白いんです。

撮影に関して、撮影禁止などの問題は無かったようです。ホロコーストものなので、どうなのかと思いましたが、監督は、問題が無かったとおっしゃっていました。でも、フランスでのホロコーストの話を知っている人を探して話を聞こうと思いましたが、ほとんど聞くことは出来なかったそうです。思い出したくない過去なのでしょうね。

とにかく、素晴らしい作品でした。ぜひ、皆さんに観て欲しいです。これ、ぜひぜひ、日本公開して欲しいですね。クリスティン・スコット・トーマスさん主演だし、これだけ有名小説が原作なのだから、誰が観ても満足出来る作品だと思いますよ。私は、超お奨めの1品です。
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