今日は、”孤高のメス”の試写会に行ってきました。
ストーリーは、
1989年。地方都市にある市民病院に外科医・当麻鉄彦が赴任してくる。そこは大学病院に依存しなければ運営することが出来ない、悪しき体制が蔓延した病院だった。そのような中でも、当麻は己の信念を曲げることなく次々と困難なオペを成功させていく。そんな最中、市長が病に倒れる。救う手立ては肝臓移植しかなく、それは法律的にタブーとされている手段であった。“なぜ、目の前の患者を助けるのに、最善の手段が講じられないのか?”当麻は静かに決意をする……。
というお話です。
原作は、現職の医師の方が書かれていて、医師という職業がどれほど大変なものなのか伝わってきました。
医師不足、技術の低迷など、色々な問題が山積している医療精度にメスを入れるべく、医師の方が訴えて下さっているのだと思って、映画としてだけでなく、現実の問題としても、考えて観ました。
現在はOKになっている”脳死肝移植”ですが、この映画の舞台である1980年代は、まだ許可されていませんでしたよね。脳死というものを認めてなかったからです。現在では、脳死というのは良く知られていますが、昔って、脳死ってなに?っていう認識でしたよね。脳だけ死んでるって理解出来なかったもん。心臓は動いているんでしょ。心臓が動いていれば生きていると思ってましたから・・・。この20~30年で、随分進歩したものです。

禁止されている脳死肝移植をやれば命が助かる、けど、医者としての生命を絶たれるかもしれないって言われたら、悩みますよね。普通の仕事なら仕事を辞めるくらいなら移植はしないって言うでしょうけど、医者だし、人の命がかかってるとなると、これ、悩むと思うなぁ。キレイごとだけじゃ生きていけないですもんね。
その移植手術問題の周りで、大学病院からの医者の派遣問題とか、医療技術の低下の問題など、色々関わってきます。自分の縄張りを守る為に他人を蹴落とすとか、酷いです。そこらの野生動物じゃないんだから、縄張りってなによっ!!人間でしょ。人間だったら、自分も向上するために、嫌な奴だと思っても理解しようとしたりするでしょ。医者の世界は、アフリカのサファリなのかっ!!

主役の当麻先生は、珍しく真剣に医療に取り組んでいる人となっていますが、そんなに医者って真剣に医療をしていないんですかね。確かに、色々な病院に行きますが、いい加減な先生っていますよね~。私なんて、抜糸に行って帰ってきたら何本か残っていて、自分で抜きました。もー、最初から自分で抜けばよかった。そんな医療でもお金はキッチリ取られました。
脳死って、やっぱり難しい・・・。脳は死んでいても、手が暖かくて心臓も動いている。そんな状態で、死んでますから、部品をとっても良いですかって言われても、気持ちの整理が直ぐに付かないと思います。だからこそ、医学界も簡単にはOKが出せなかったのだと思います。それに、臓器移植がお金で買えるようになってしまったら、それで殺人なども起きるようになるかもしれない。この問題は、今も難しいと思います。
長くなってしまいましたが、これほど、考えさせられる内容の映画でした。もちろん医療技術も、ちゃんと撮影されていました。結構、手術場面で内臓バリバリに掴んでたりして、生々しいのが苦手な方には、ちょっと可哀想かもしれませんね。私は、ぜーんぜん平気なので、肝臓を見ながら、ああーレバーが食べたいと思ったほどです。だって、若い子の肝臓は、ピンクでツルツルでキレイなのよ~!これ、本当に実物もそうですからね。私は、若い頃、胃カメラを飲んで、医者に”若い子の胃はピンクでキレイだね~!”って褒められました。(^_^;) (笑)
ぜひ、今、現実に起こっている医療問題を、この映画を観て、考えて欲しいです。地域医療がボロボロになっている現状を何とかして欲しいですよね。ぜひ、ご覧になってください。私は、好きな映画でした。今回は、あんまり映画の感想になってませんね。ごめんなさい。
私は泣きませんでしたが、結構、泣いている方もいらしたようですよ。
・孤高のメス@ぴあ映画生活

